まだ課題はあれど影響力は甚大
社会に新たな価値観を創生

 一方で、シェアリングエコノミーのサービスのなかには、法律的な観点から収益化が難しいビジネスモデルも少なくない。

「nottecoという自家用車の相乗りサービスがありますが、道路運送法では業として有償で運送・輸送するには、国土交通大臣の許可が必要です。そこで、nottecoでは、ガソリン代や高速代など実費を超えない範囲でコストシェアを行うルールになっていて、全件目視監視をしています」

 話題になっているAirbnbについても、よく言われるのが旅館業法との兼ね合いだ。旅館業法では、宿泊料を受けて人を宿泊させる営業行為をするには許可が必要とされる。

 しかし、現状のAirbnbでは、なかには旅館業法の基準を守っているホストもいるが、ほとんどのホストは許可を持っておらず、様々な議論を呼んでいる。

 このようにシェアリングエコノミーは、新しい産業であるゆえに、法律上の課題も少なくない。だが、そのインパクトは社会を変える可能性を秘めている。

「やや大袈裟な言い方になりますが、シェアリングエコノミーは資本主義に対するアンチテーゼなんです。資本主義というのは、たくさんモノを生産して、たくさん売って、たくさん所有してもらうというモデルです。そのために、大衆に宣伝をしたりして、『モノを所有することに価値があるんだ』という洗脳をしていゆくわけです」

「一方、シェアリングエコノミーは、モノを生産しません。すでにあるモノをみんなで共有することでお金をやり取りします。なぜ、そうするかというと、共有した方が効率的でコストが安いからです。4人家族でサッカーボールを4つも持っているのは、バカバカしいですよね。サッカーボールなんて家族に1つあれば十分じゃないですか、というのがわれわれの提案です」

「実際、社会はシェアリングエコノミーの価値観に近づいてきていると思いますよ。昔のバブル期は、恋人たちは高級車に乗ってクリスマスに一流ホテルで過ごすというのが流行っていましたが、今は、何かを消費したり所有したりすることよりも、SNSブームに見られるように、人とつながることに対する願望が強い人が多くなっていると思います」

 シェアリングエコノミーは、単にコストが安いというだけのビジネスモデルではない。社会の価値観が変化し、他人と繋がることが当たり前になったからこそ成立する新時代の経済活動のあり方なのだ。それゆえ今後、個人の他人と繋がりたい願望が増せば増すほど、市場規模が際限なく拡大していくことは間違いないだろう。