中国の消費を牽引してきた20代に、節約はカッコいいという新しいムーブメント生れつつある。節約上手の若者は「コウコウ族」「酷コウ族」と呼ばれている。こうした行動変化は若者の消費行動に、どういう影響をもたらすのだろうか。
緑色中国と有名人が創り出した
節約はカッコいい
まさに今の中国の消費を牽引する世代として、中国国内はもとより日本でも1980年代生まれ、つまり20代の「80后(パーリンホウ)」という世代が注目されている。
大都市に住む彼らは、両親や親族の財力をバックに消費を満喫している世代ではあるが、一方で、節約上手、買い物上手の若者がカッコいいと思い始めている。給料を使い切るほど消費を楽しむ若者は、インターネット上で「月光族」と呼ばれており、後者の節約上手の若者は「コウコウ族」「酷コウ族(※)」と呼ばれ(両者の意味・使われ方に違いはない)、その単語の出現頻度は日に日に増えている。(※コウは手偏に区)
もともと中国都市部の20代は、誰もが節約しないわけではない。日本のようにブックオフのような中古市場や100円ショップといった激安商品が市民権を得ているわけではなく、そういった節約術はないものの、以前から値引きクーポンが人気(第199回参照)である。とはいえそうしたライフスタイルをよしとしない空気があった。
ところが、「クール」「格好いい」という意味の「酷」の字が入った「酷コウ族」という言葉が登場するあたりからも察することができるように、節約家に対する風あたりがぐっと変わりつつあるのが現状である。
最近になって一部の節約の常識が、中国都市部の20代の常識にまでなったのはいくつか要因がある。