家庭の主婦が仕事帰りにお惣菜を買って帰ったとしますね。そのときに「おいしかった。また買ってきてね」と言われるのと、値段は安かったけど食べ残されたらどうでしょうか。その違いが大切なのです。

 もちろん失敗はあります。たとえば、煮物を煮すぎてしまった場合は、早く鍋をさますことが大切。このときは、お酒を鍋に回してさまします。それから私が使えるものを使って味を調えてみせて、みんなで食べてみるということを、必ず実行します。

 そうすると失敗した人は、「ごめんね」と思っているので、必ず反省してくれる。そういう従業員に囲まれている私たちは、本当に恵まれています。

なぜ、従業員を
1対1で叱らないのか?

さいちでは、お惣菜をつくることにも増して、「惣菜をつくる姿勢をつくる」ことに、力を注いでいる。人の育成にはどのような教育方針で臨んでいるのだろうか。

佐藤社長:私は人を教育できるような立場でありません。ただ、思いは二つあります。

 一つ目は、「絶対に幸せになってくださいね」と言っています。「ここでやっていることは(幸せになるための)道具なんだからね。(幸せになるためには)何でもサポートします」と。

 二つ目は、「必ず結果の出せる人間になってください」ということです。「中途半端なまま結果を出さないでいると、ずっとそのままになりますよ」と。

 開店してしばらくは、教育なんてする余裕がなかったので、従業員がダイレクトに家庭の不和を持ち込んでくるかと思えば、昨日の学校の運動会の話をしてみたり、もうメチャメチャでした。人手も足りないし、困ったなと思ったのですが、そういう場合は、「すぐにうちに帰って、心が落ち着いてからまた来てください」と言うようになりました。いまでも、そうハッキリと言います。