選挙制度は複雑で、おかしな点や不合理な点がたくさんある。筆者はかつていくつかの選挙の選対本部長を務め、自分自身も衆院選に出馬・落選した経験がある(本稿の「著者・コラム紹介」参照)。その経験を基に、くだらない選挙制度・慣習について雑学的に紹介したい。(政治ジャーナリスト 松井雅博)
選挙は変なところだらけ
気楽に読める選挙トリビアの紹介
参院選もついに終盤となった。
今回の選挙から18歳の若者も選挙に行けることとなり、各地で様々な試みが行われている。もちろんそれ自体は素晴らしいことだと思うが、選挙について真面目な顔で語るばかりでは疲れてしまうだろう。
そもそも、「選挙」という制度自体におかしなところが多すぎて、実は真面目な顔で考えるのもバカらしい代物だ、ということに気づき始めた若者も多いかもしれない。
ポスターやチラシ、HPを見てみたけど、全然欲しい情報がないじゃないか。
政策について議論を深めたけれど、「で、結局、誰を選べばいいの?」と問われると立ち尽くしてしまう。
というあなた!実はその感覚はとてもまとも。むしろ、そこに何の疑問も感じずに投票所へ行く方が、言っちゃ悪いがよほど思考停止かもしれない。
今日はそんなあなたが気楽に読める世にもおかしな「選挙トリビア」を紹介したい。
写真が本人と全く違う!?
秘書と勘違いされた女性候補者
おそらく有権者の皆さんが投票の際に目にする機会が多いのは街中に貼られているポスターだろう。このポスターを見て、多くの皆さんはどの候補者に投票しようかを判断するわけだが、そこには大きな「詐欺」がある。
まず、ポスターの大半の面積を占めている「写真」。多くの候補者がお金をかけてプロのカメラマンに写真を撮ってもらっている。人によっては斜め上など変わった角度からの写真を採用したり、修正したり、芸能人顔負けの写真になっている人もいる。証明写真のように「何ヵ月以内」などの規定もないため、高齢の候補者は若い頃の写真を使うこともある。
かつて、とある女性候補者が自分の顔写真入りの名刺を配っていたところ、あまりに実物と違うため、配られた方は目の前にいるのが候補者本人だと気づかず、秘書かスタッフだと勘違いしたまま話してしまった、という冗談のような本当の話まである。