あなたは「自分を変えなくてはいけない」と思っていないだろうか?だが、変える必要なんてまったくない!むしろ、変えたりしてはいけない。「流れ」さえ変えればよいのだ。エグゼクティブが信頼を寄せる人財コーチが、個人にも組織にも通用する、「流れ」を変える5つのステップを伝授する。著書『「流れ」を変える方法』から抜粋した連載の第1回は、ステップ1「今、ありのままを受けとめる」。著者自身がどん底から体得したこととは?
「数字=自分の値打ち」と思っていた
もともと私は銀行の営業マンで、「数字イコール、自分の値打ち」という価値観で仕事をしてきた人間だった。
人に負けるのが大嫌い。営業会議で表彰されることだけをモチベーションに仕事をしてきた。結果も出し、20代のころから「表彰状コレクター」などと言われ、周りからは羨望の目で見られていた。
しかし楽しかったかといえば、どうだろう。正直、まったく面白くはなかった。
会社は大手銀行だから、放っておいても人生安泰だ。しかし毎日は、表彰のために突っ走るのと、我に返って空しく思うことの繰り返しである。仕事に生きがいなどは、まったく感じられない。
そこで銀行を辞めてしまったのだ。
きっかけは、心理学を生かした能力開発の研修に興味を持ったこと。転職して、人材育成トレーナーとしてのキャリアが、ここで始まる。
その結果、「流れ」を変えることができたのか?
じつは……今だから言えるが、何も変えることができなかった。
それどころか、私の自己不満はもっと高まったのかもしれない。
最初のころは望んでいた新しい仕事を得て、人生上り調子のように感じたのである。人に教えることは今の仕事にもなっているように、私にとっては天職との出会いだったのだろう。
しかし気づけば銀行の営業をしていたときと同様、やはり他のコーチと業績を張り合って一喜一憂しているような自分がいた。楽しい仕事、やりがいのある仕事のはずなのに、なぜか私は自分を誇らしく思えなかった。
そんな私に押し寄せてきたのは、時代の変化による波だった。