起業の失敗、大震災、火事……どん底でほとんどウツ状態に

 そんな折りの1995年、まるで私の困難に追い打ちをかけるように、阪神淡路大震災が起こったのである。

 阪神間にあった家は半壊状態。私には、それを直すお金もなかった。

 当時は、半壊状態では地震保険は下りなかった。いっそ全壊だったら……などと、今思い返すだけで恐ろしい考えが頭をよぎったのを覚えている。

 仕方なく妻と5人の子どもは、両親がいる大分県の別府に移住する。私は1人関西に残ったのだが、家の漏電が原因で火災が起こってしまう……。

 仕事も失い、家族とも離れ離れになり、挙句は火事で家も失う。

 こんな踏んだり蹴ったりで、すべてうまくいかない状況が想像できるだろうか?

 水は流れないと腐っていくが、まさに私の気持ちはそんな状態。

 もはやこうなると「頑張らなきゃいけない」とは思っても、何をどう頑張ったらいいかわからなくなってくる。

 モチベーションはまったく失われ、起きていると「こんな状態がずっと続くんちゃうか」という不安で一杯になる。だから1日の半分を寝て過ごす……。

 そのままでは本当に、人生が終わりになっていたかもしれない。