美智子さん夫婦には複雑な事情がありました。2年前、夫が脳梗塞で倒れ、脳の器質性障害のため左片麻痺の症状が残り、障害第一級の認定を受け、労災年金と障害年金を受給しながら苦しい生活を強いられてきたそうです。

 美智子さんは2年間、夫の身の回りの世話、家事の全般、そして介護を担い、体力的にも精神的にも、そして金銭的にも我慢の限界に達してしまいました。心身ともに障がいが残る夫に対して、少々強引ですが、離婚届の住所、氏名の欄に記入させたのです。夫が「離婚の意味」をきちんと理解しているかどうか定かではありません。

 そして、それ以外の箇所は美智子さんが記入し、証人の欄は美智子さんの妹2人に記入してもらい、すべての欄が埋まった状態で、離婚届を役所へ提出し、無事に受理されたのです。

 法律上、夫婦はそれぞれを支えていかなければならないのですが、逆にいえば、2人が離婚し、間柄が「元夫婦」に変われば、その限りではありません。妻が夫に尽くし続けるかどうかは個人の自由。もはや無理に強いられることはないので、離婚届は紙っぺら1枚ですが、美智子さんにとっては大違いです。

 美智子さんは近くに住んでいる(夫の)弟夫婦に「あとは任せたから」と一方的にメールを送り、逃げるように家を出ました。弟夫婦は美智子さんが夫(兄)のことを「あいつ」呼ばわりするほど追いつめられていたことを知っていたかどうか……今となっては定かではありません。

「今さらあいつに何を言われても構いません!」と美智子さんは開き直っています。決して感情的に突っ走ったわけではなく、悩みに悩み、迷いに迷った末の結論だったことが窺えました。前述の通り、確かに法律的には何の問題もなく、後ろ指をさされる筋合いはありません。しかし、社会的、常識的、そして倫理的にどうなのか……罪悪感や後ろめたさ、後悔の念はこれからも付きまとうでしょうが、「ハンコを押した方が悪い」と元夫に責任転嫁をすることで、何とか精神状態を維持しているように見受けられました。

夫を「あいつ」と呼ぶの妻の共通点
被害妄想が強く、強引で、腹黒い

 ここまでは夫のことを「あいつ」呼ばわりするトンデモ妻の相談実例を30代、40代、50代、60代と年代ごとに紹介してきましたが、4人には共通の特徴があります。