信頼性を持たせるために必要なこと
どんなに素晴らしいアイデアでも信じてもらえなければ意味がありません。つまりアイデアには信頼性が必要だということです。
信頼性を持たせるためにはどうすればいいのでしょうか?
1つは権威のある専門家や有名人のお墨付きをもらうことです。「これは日銀のホームページに書いてあることです」と言えば、多くの人は間違いない情報だと思うでしょうし、大学の教授が証明したことであれば誰もが信じるでしょう。
2つ目には、統計を持ち出す方法です。統計データやランキングを持ち出して「これだけの人たちがこの商品を買っている」となれば信頼性は増すでしょう。
さらに3つ目。権威づけよりも、統計を並べ立てるよりも、もっと説得力を持たせる方法があります。それは、鮮明な細部描写を盛り込むことです。
ある実験がありました。7歳の子どもの養育権を認めるかどうかの裁判で、陪審員たちは、おおざっぱな証言と、鮮明な細部描写がある証言ではどちらを信じるかという実験です。
Aの証言「子どもが寝る前にはきちんと顔を洗わせ、歯を磨かせる」
Bの証言「子どもが使っているのは、スター・ウォーズのダース・ベイダーの形をした歯ブラシだ」
Bの証言の細部は、親としての適性とは無関係ですが、これが裁判を決定づけました。
相手の感情に訴える3つの方法
感情に訴える方法として、チップ・ハース教授らは次の3つをあげています。
(1)関連づけを利用する(既存の感情にアイデアを関連づける)
反喫煙団体のキャンペーンでは、殺人に対する怒りをショッキングに喫煙と関連づけました。「タバコが毎日、何人を殺しているか知ってるか」というセリフが全米の若者たちの感情を揺さぶったのです。
(2)自己利益に訴える(欲しかったものがここにあると訴求する)
多くの企業は消費者へのメリットを訴えないで、商品の特徴ばかりを強調しています。「あなたにとってこんなメリットがありますよ」と言うべきなのです。
(3)アイデンティティに訴える(相手の持っている自己イメージを利用する)
ポイ捨て取り締まりキャンペーンで功を奏したコピーが「テキサスを怒らせるな」です(「怒らせるな」と「散らかすな」は同じ英語表現を使った洒落)。これは「本当のテキサス人はポイ捨てしない」と南部男たちのアイデンティティを刺激しました。