コンセプト設計で大事なのは、アイデアです。アイデア次第でたくさんの人の心を動かすヒットが生まれるわけです。つまり、記憶に焼きつくアイデアでなければなりません。そのために必要な6原則をお伝えします。
思考法から発想術、文章術、読書術、プレゼン術、図解術、交渉術、成功哲学まで、本当に使える仕事術を1冊に凝縮した新刊『ビジネススキル大全――2時間で学ぶ「成果を生み出す」全技術』より抜粋し、紹介していきます。
力のあるアイデアとは、人を動かすアイデア
ビジネスではアイデアが不可欠です。新しいものを生み出すアイデアがないと、ビジネスは衰退せざるを得ないでしょう。過去の成功事例を真似しても成功するとは限らないし、スピードを上げても成功しない時代なのですから。
答えは見えないし、先行きも見えません。新しいアイデアを出して、どんどん試してみるしかないのです。ただ、アイデアを出すとき、力のあるアイデアとはどのようなものかという本質がわかっていたらいくらでも応用できます。また量産もできるでしょう。
では、力のあるアイデアとは一体どのようなものでしょうか?
力のあるアイデアとは、すなわち人を動かすアイデアのことです。「消費者の心をつかみ、記憶に焼きつかせ、実際に行動させるアイデア」と言い換えてもいいでしょう。たくさんの人の心を動かすからヒットするわけで、そのためにアイデアは、記憶に残るものでなければいけないのです。
記憶に焼きつくアイデアの6原則
記憶に残るアイデアには共通点があります。スタンフォード大学のチップ・ハース教授とダン・ハースらはその共通点を次の6つにまとめてくれました。
原則1 単純明快であること
原則2 意外性があること
原則3 具体的であること
原則4 信頼性があること
原則5 感情に訴えること
原則6 物語性があること
イスラエル人研究チームは「この6つの原則を理解すれば広告制作の初心者でもいいアイデアを生み出せるかもしれない」と考えました。そして、それを検証するために実験をしました。まず広告制作の初心者を3つのグループに分けます。第1のグループは、製品の予備知識を受け取ったのち、何の訓練も受けずすぐに制作に取りかかりました。それを消費者に試してもらったところ、結果は惨憺たるものでした。
第2のグループは、経験豊富な制作者から2時間にわたり、自由連想型ブレーンストーミング手法の訓練を受けました。消費者テストの結果は第1グループとさほど変わりませんでした。
第3のグループは、6つの原則について2時間の訓練を受けました。結果、消費者からズバ抜けて高い評価を得たのです。創造性の評価は他の2つのグループより50%高く、製品に対する好意も55%高くなりました。
このことは広告だけに限りません。文章を書くときも、講演で話すときも、ビジネスアイデアを模索するときも、あらゆるシーンで活用できます。