アイデアは単純明快でなければならない
アイデアは単純明快でなければなりません。顧客を目の前にしたら販売計画など何の役にも立ちませんから、まず単純明快にひと言で伝えることが必要になります。ひと言で相手の心をつかめなかったら最後まで話を聞いてもらえないのです。
単純明快であるためには、アイデアの核となるものを見極めなければなりません。3つも4つもあっては相手の頭に何ひとつ入っていかないのです。ぼやけてしまい何も言わないのと同じ状況になります。
1つに絞り込むことです。無駄なことをそぎ落して簡潔な1本の言葉にしてみることです。アイデアを1本の言葉にするという作業をしてみると、自分の頭のなかが整理されていくのがよくわかります。
意外性とは常識を破ること
記憶に焼きつきやすいアイデアには意外性があります。相手を驚かすようなアイデアだということです。
たとえば「世界一のトランジスタラジオを開発しよう」というアイデアはいかにもありきたりで意外性はありません。「トランジスタラジオの研究で他社に差をつけよう」という標語を作ったとしても誰も記憶に残してくれないでしょう。
しかし、ちょっとした視点の違いで意外性は付加できます。
1950年代のことですが、ソニーは開発者たちに「ポケットに入るラジオを作ろう」と呼びかけました。今では当たり前ですが、当時はポケットにラジオを入れて持ち歩くという発想はありませんでした。
これこそ意外性です。「ポケットに入るラジオ」というアイデアは技術者たちにも消費者にも受け入れられ、ソニーは驚異的な躍進を遂げます。
意外性とは「常識を破る」ということです。相手がイメージしている予測をくつがえすと言い換えてもいいでしょう。
具体的であることは理解を助ける
具体的であることは重要です。あいまいで抽象的だと相手に伝わりません。たとえば、IT企業の経営者が「次世代の優れた検索エンジン」を開発しようと技術者たちに呼びかけても、それが関連性のある情報すべてを拾い出す検索エンジンなのか、それともスピードなのか、技術者たちはどちらを目指せばいいのかわからなくなるでしょう。アイデアは具体的に示す必要があります。
具体的であると相手に伝わるだけでなく、理解を助けてくれます。わかりづらいことも具体的に説明することで理解できるようになるのです。たとえば、料理のレシピがあった場合「十分に粘りが出るまで煮詰めます」としか書いてなかったら、はじめて作る人にはさっぱり理解できないでしょう。「中火で約60分間、じっくりと煮込んでください」と具体的に書いてあれば誰にでも理解できます。