
トランプ政権が導入した一連の関税措置が、日本企業に重くのしかかっている。とりわけ鉄鋼や自動車など品目別関税の強化により、製造業の打撃は深刻だ。こうした局面を受けて、ダイヤモンド編集部は最新決算を基に関税リスクの高い企業を分析。特集『関税地獄 逆境の日本企業』では、関税打撃度を可視化した249社ランキングを配信する。その第4弾として、コロナ後に米国事業の売上高を急成長させた米国「超成長企業」ランキングを公開する。(ダイヤモンド編集部編集長 浅島亮子)
トランプ関税打撃ランキング第4弾!
米国売上高を急成長させた企業が痛手
6月17日の主要7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせて行われた日米首脳会談で、日本は「一連の関税措置の見直し」を求めたものの、米国から具体的な譲歩を引き出すことができなかった。
製造業を中心に、“トランプ関税”の影響をまともに受ける産業界では失望感が広がっている。
トランプ関税には、おおまかには4種類に分類される。一律関税(全ての輸入品に一律10%)、相互関税(日本には上乗せ分14%を含み24%)、国別関税(カナダ・メキシコや中国などが対象)、そして品目別関税(鉄鋼・アルミ製品、自動車・自動車部品など)だ。
とりわけ国内産業界で懸念が高まっているのは自動車関連関税だ。同じ品目別関税では、6月4日に鉄鋼・アルミニウム製品に対する追加関税が25%から50%へと引き上げられたばかり。自動車関連関税では、4月には完成車に、5月には部品にそれぞれ25%の追加関税が発動されている。
ダイヤモンド編集部では、自動車を含む製造業を中心とする249社を対象に、トランプ関税によって大きな打撃を受ける懸念のある企業を分析。最新の2024年度決算をもとに関税の影響度を可視化した4つのランキングを作成した。監修は、東海東京インテリジェンス・ラボのシニアアナリスト杉浦誠司氏によるものだ。
4つのランキングは以下だ。
米国事業への依存度の高い企業はどこか。連結売上高に占める米国事業の構成比に着目。どの企業が米国市場を最大の稼ぎ頭としているかをランキングした。関税の影響のダイレクトに受けやすい企業を抽出した。
②米国事業の売上高構成比の変化(18年度vs 24年度)《6月18日配信》
コロナ後に米国依存を強めた企業はどこか。18年度と24年度の6年間で、米国事業の売上高構成比がどれだけ伸びたかを可視化。ポスト・パンデミックの需要拡大や現地生産シフトを進めた企業がランクインした。
米国で最も稼いでいる企業はどこか。24年度の米国事業売上高を金額ベースでランキング。売り上げ規模の大きさ=市場の存在感を示す指標とし、関税影響を予想した。
④米国事業の売上高(同)の変化(18年度vs24年度)《本稿》
コロナ後に米国事業を大きく伸ばした企業はどこか。18年度と24年度の6年間で、米国事業の売り上げ規模をどの程度増やしたのかをランキング。急成長した企業ほど関税の打撃リスクが大きくなる。
本稿では、ランキング第4弾としてコロナ後に米国事業の売上高を急成長させた米国「超成長企業」ランキングを公開する。製造業249社を対象にコロナ前と最新決算を比較したところ、実に210社が米国で売り上げを伸ばしていた。米国市場で存在感を示した企業ほど、いま関税の逆風を受けやすい。次ページで、ワーストランキングの順位を明らかにしていこう。