グノシー

開発者は東大院生独自アルゴリズムで
ニュース記事を推薦

 あなたの興味を分析し、ウェブ上に溢れる情報の中から、毎日、あなたの興味に合った記事を集めてきます──。

「Gunosy(グノシー)」はそんなインターネット時代の“パーソナルマガジン”を標榜するウェブサービスだ。ツイッターでのツイート内容やお気に入り登録、フェイスブックのいいね! 情報、はてなのブックマーク情報といった、利用者のSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)上での行動を収集・分析し、その人の興味や関心に沿ったニュース記事を、1日1回メールで届ける。しかも、使えば使うほどその人の興味を学習し、記事推薦の精度は向上する。

独自のアルゴリズムにより、本誌編集部員の元に届いたお薦めニュース
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 グノシーを立ち上げたのは、東京大学大学院で工学系研究科の修士課程に在籍していた福島良典さん(システム創成学科専攻)、関喜史さん(技術経営戦略学専攻)、吉田宏司さん(同)の3人だ。

右から福島さん、関さん、吉田さん。Photo:DW

 データマイニングの研究をしていた3人が、グノシーの開発に着手したのは2011年の8月。そしてわずか2カ月後の10月25日にサービス開始にこぎ着けたというから驚きだ。「夏休みで暇だったこともあるけど、自分たちのモチベーションからつくったところが大きい」と関さんが言う。

「今までのネットでの情報収集は、自分が欲しいと考えている情報を言語化してキーワード検索したり、『この情報はこの人が持っていそう』という専門家を見つけてフォローしたりと、実は情報を得るためのハードルがすごく高い。普通の人たちの知識獲得を助けるような、受動的なサービスをつくりたかった」(関さん)

 といっても、当初のレコメンドエンジンは、「割とシンプルで一般的なアルゴリズムだった」と福島さん。その後、データマイニングに関する最新の研究論文などを参考に、アルゴリズムを独自のものに磨き上げていった。

 彼らにとって統計学は、データマイニング技術の基礎というだけでなく、「仮説を検定するツール」として不可欠な学問領域だ。絶えずアルゴリズムに手を入れ、PDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを回すことで、サービス開始当時のソースコードはもう存在しないというくらい、この1年半で進化を遂げた。学生だった彼らにとっては格好の研究の対象で、この春に修士課程を修了した福島さんの修士論文は「グノシーの改善過程」がテーマだった。

 現在のユーザー数は10万人を超える。週に1度は薦められた記事をクリックするというアクティブユーザーは70%以上という。もともと研究の一環で始めたものであり、この春からの就職先を決めていたメンバーもいたが、さすがに10万人を超えるユーザーを前に中途半端な対応はできなくなり、昨年11月に法人化した。

 CEOとなった福島さんが言う。

「ネットが図書館だとすると、誰でもそこに本を置けるようになり、グーグルがそれらを整理してくれた。でも、欲しい本にたどり着く技術はまだ確立されていない。グノシーはそんな図書館のナビゲーターになりたいんです」