【カルビー】
栽培・生育データから
ジャガイモの緑化半減

 カルビーの主力製品である「ポテトチップス」。スライスして、揚げて、塩などで味付けするというシンプルな製法だけに、原料のジャガイモに製品の品質が大きく左右される。

 品質面で起きやすい問題の一つが、緑色に変色してしまう緑化現象。一般に農家は外観でジャガイモの良しあしを判断する傾向があるが、中身が緑化していると揚げたときの色みが悪く、商品として出荷できない。

 そこで、ジャガイモの調達を担う子会社のカルビーポテトでは、外観からは分からない中身の緑化を食い止めるため、栽培方法の違いと緑化の関連性を調べることにした。10年ほど前から主産地である北海道で、農作業などの栽培データとジャガイモの生育データの収集・分析を始めたのだ。約1200軒の契約農家から5年にわたってデータの収集を続けた結果、種芋を植え付けるときの深さと植え付けた後にかぶせた土(覆土)の厚さが緑化と関係していることが分かってきた。植え付けが浅いとその上に盛り付ける土の厚さに限界があり、結果、緑化が増えることが明らかになったのである。

ジャガイモ畑に気象センサーを設置しデータを自動収集、収穫量を予測する実験にも取り組んでいる

 データが示したのは、覆土の厚さが16センチメートルを切ると緑化する割合が急増するというものだった。カルビーポテトでは、植え付けは深さ6センチメートル以上、覆土厚は17~20センチメートルとするよう作業マニュアルを作成して契約農家に配布した。その結果、緑化率は以前に比べて半分ほどに減少したという。

 また、生育不良を初期段階で把握することもできるようになった。ポテトチップスに適したジャガイモの茎は70センチメートル程度まで伸びるが、カルビーポテトでは植え付け日別に茎の長さが20センチメートルに到達する予測日を一覧表にして配布。予測日が来ても20センチメートル未満なら農家は肥料を増やすなどして生育不良を防いでいる。