Q4:U容疑者の居住する相模原市は、生活保護の不正受給が多いのでは?

A4:個人によるもの・「貧困ビジネス」によるものを含め、不正受給そのものは皆無ではありませんが、突出して多いわけではありません。むしろ、独自に「貧困ビジネス」対策を検討するなど、肯定的に評価すべき点もあります。

Q5:相模原市は、すぐU容疑者の生活保護を開始しており、しかも措置入院歴を生活保護の担当者が知らなかったとか。甘すぎるのでは?

A5:状況を考慮して、申請に対して、すぐに保護開始としています。U容疑者の生存・生活・今後の再就職の可能性などがかかっているわけですから、妥当な判断だと思います。しかも失業手当を実際に受給でき、今後(少なくとも3ヶ月間)の生活の裏付けが「ある」と明確になる時点まで、保護は打ち切っていません。全国の自治体にお手本にしていただきたいくらいです。

 また、措置入院歴があろうがなかろうが、心身の不調は起こりうるわけですから、「すぐに起こりそう」「起こりかけている」「起こっているがまだオオゴトではない」という段階で対応できれば十分です。

 一つだけ残念に感じられるのは、保護を打ち切った後のフォローです。相模原市は、本人から精神科受診について「躁うつ病で通院」と知らされていたわけですから、安心して生活し、求職活動や治療が行えるように、生活困窮者自立支援に関わる部署などの包括的な支援に引き継ぐ必要はあったかもしれません。措置入院先の病院に対しても、同様の残念さを感じます。病院と相模原市のどちらかで、退院後・生活保護打ち切り後のフォローがあれば、異なる成り行きとなっていた可能性が高いと思います。

 また、U容疑者の借金についても、把握・対応できていたのかどうか不明な状況です。1ヵ月と8日だけの生活保護では、措置入院を含め、本人が話したくない話を聞き取れるだけの信頼関係を築くのは難しかったのかもしれません。なおさら、その後の支援を行える部署へ引き継いでいただきたかったところです。生活困窮者自立支援法にもとづく支援には、債務整理も含まれています。

事件を発生させるに至った
U容疑者と障害者施設の問題点

 この事件に関する数多くの報道を時系列で整理してみると、あまり報道されていない、しかも重要と考えられる事実が数多く浮かび上がってくる。今回の最後に、U容疑者の元勤務先であり犯行現場ともなった障害者施設の職場環境について、気になる事実と私見を述べておきたい。