「前の税務調査では大丈夫だったし、今回も経費にしていいだろう」。こんなことを思ったことはありませんか?
ところが、「前回の税務調査はアテにならない!」と断言するのは税理士の井ノ上陽一氏。
「経費」から「決算」まで、必要な知識が全部わかると評判の『新版 ひとり社長の経理の基本』の発行を記念して、「経費のカンドコロ」を語ってもらおう。
「経費にしないもの」を
決めておく
正直、どんな経費を入れてもバレないときはバレません。とはいえ、クロの経費が税務署にバレれば、ペナルティを受けます。
そもそも日本は、自主的に利益を計算し、税金を申告する制度になっていますので、「何を経費にするか」は自分で決めなければいけません。
ここでオススメしたいのは、「何を経費にするか」ではなく「何を経費にしないか」という視点を持つことです。例えば、
・家族で飲食したものは入れない
・お金を出さずに領収書だけをもらわない
・プライベートでしか使わないものは入れない
といったことを予め決めておくイメージです。
私はプライベートでトライアスロンをやっているのですが、無論経費に入れていません。こういったものを経費に入れようとすると判断が鈍るからです。
ここからは、経費にできなくはないけれど、「絶対に経費にしないほうがいいもの」をお伝えしていきます。
税務調査で見つかったときに、「何の弁明もできず、平謝りしなければいけないような経費」あるいは「返答に困ってしまう経費」は、最初から入れるのをやめましょう。
経費に入れるからには、証拠だけではなく、必ず理由をつけて下さい。苦しい言い訳ではなく、正当な理由です。
「前の税務調査で大丈夫だった」は
キケン!
税務調査で何も言われなかったからといって、それが次の調査でも大丈夫だという保証はありません。法律の改正や環境の変化により影響を受けますし、税務調査の担当者によっても見解は変わります。前の税務調査では、たまたま見つからなかっただけかもしれません。
もし、「限りなくクロに近いグレーの経費」を入れている場合は、すぐやめましょう。他の社長から聞いた話、ネット上の話も注意が必要です。「たまたま大丈夫だった」ことも多く、あてにはなりません。特に匿名のネット情報に気をつけましょう。