報酬に見合う実績を上げるためにも
経営者が人事管理システムを改革せよ

 業態や管理すべき集団によっては仕方がない場合もあるのだろうが、新卒一括採用と結びついている「年次主義型人事管理」は、そろそろ止めるべき企業が多いのではないか。年次が何年若かろうが、有能な管理職たり得る人材はいるし、年次が上なのに無能な管理職はもっとたくさん居るというのが、多くの企業の実態だろう。社員を下級の兵隊のように画一的に扱う人事管理は、止める方がいい。

 個々の社員の貢献によって報酬は違っていいし、能力によって処遇が異なってもいいはずだ。管理する側が、個々の社員を同期や同年齢の社員との相対評価でなく評価し、仕事の与え方や経済的処遇についても個々の社員と交渉するような、「丁寧な人事管理」が日本の企業にも本来、必要なのではないだろうか。

 大企業の場合、社員1人の人件費だけで通算数億円になるはずだし、社員が業績に及ぼす影響はもっと大きいはずだ。

 個々の社員に適合することを目指す、画一的でない人事管理を行うなら、新卒一括採用の弊害も自ずと解消に向かうだろう。

 問題は、企業経営の根幹に関わる人事管理のシステムを誰が変更するのかだが、これは経営者がやるしかない。部長も含めて人事部員のような「既存の人事システムで偉くなる途中に居る人」に、人事制度の抜本的な改革を任せるのは無理だ。

 ところが、多くのサラリーマン経営者の場合、自分自身が既存の人事管理システムにおける成功者なので、これを改革しようとする意欲や問題意識が乏しい場合がある。

 近年、普通の社員の年収はそうでもないが、上場企業の経営者の報酬は顕著に上昇する傾向にある。日本企業の経営者たちは、報酬に見合う実績を上げるためにも、人事管理システムの改革に本気で取り組むべきではないだろうか。その成果が十分出たときには、少なくとも企業側で新卒一括採用にこだわる必要はなくなるように思う。

「新卒一括採用」が企業の後進性を象徴するようになれば、日本企業の人事システム改革は成功である。