その後は毎週末、ジャガイモの世話をするのが楽しみになり、家に到着するやいなや真っ先に畑に向かうようになりました。おお、また草だらけだ、と必死で草取りする中で、赤い実がなっているのを見て「ジャガイモにトマトがなってる!」とびっくりしたり。わたしはそれまで、あんなによく食べているジャガイモの実の姿形すら知らなかったのです。
晩夏には、驚くほどたくさんのジャガイモが収穫できました。段ボール箱に何箱も穫れたのを家族で眺めて、「これだけジャガイモがあれば当分生きていけるよね!」「ジャガイモやさんができる!」「みんなに配ろうよ!」と、こどもたちと無邪気に喜びながら、自分の食べる分を自分でつくれるということに対して、たとえようのない充実感が湧きあがってきました。
それからは毎年、週末農作業だけでもつくれる野菜を、手掛けるようになりました。夏野菜は日ごとに大きくなり、収穫時期が厳密なので諦めましたが、秋から春にかけては大忙しです。
ほうれん草、小松菜、大根、カブ、サトイモ、キャベツ、タマネギ、ニンニク、ネギ、ラッキョウ、ショウガ、ソラマメ……と畑がにぎやかになります。いつの間にか、野菜づくりは週末の楽しみを超え、ライフワークのひとつとなりつつあるのです。
こどもたちにも、なるべく畑仕事を手伝ってもらうようにしています。やせっぽちのポチンは鍬と同じくらいの背丈のころから「よいしょ、よいしょ」とへっぴり腰の餅つきのような姿で耕すのを楽しむようになり、表面をヘロヘロと掻いただけで「ここはわたしのやった畑!」と自慢しながら面倒を見るようになりました。
それを見て末っ子のマメも何かやりたくて、鶏糞を小さな手いっぱいに持って「えいっ」とまいたり、自分専用の小さな草取り鎌でせっせと雑草取りをしたり。「これはマメちゃんのソラマメ」と勝手に自分の畑を決めて札を立てて面倒を見るのはいいのですが、いつか「マメのトウモロコシ」がまったく育たなかった夏にはしょんぼりして、農家さんのトウモロコシ畑を見るたびに「トウモロコシは育てるのが難しいんだよね……」とため息をついていました。
わたしはそのうちトラクターの使い方も覚え、より深く早く耕せるようになったのですが、それでも土のつくり方が下手で育たない野菜もあり、マメと肩を並べて一緒にため息をつくことのなんと多いこと。