オバマ大統領の支持率が70%前後から40%台に低下したなかで、今週11月2日に行なわれる米国の中間選挙。当然ながら与党民主党は大苦戦を強いられ、議会下院で多数を失う可能性が高い。オバマ大統領の実績はなぜ評価されないのか、「反オバマ旋風」を巻き起こした「ティーパーティ(茶会)」運動の背景には何があるのか、オバマ政権の今後の政策運営はどうなるのか。米国で最も人気の高い政治専門サイト「ポリティコ」のデビッド・マーク氏に聞いた。
(聞き手/ジャーナリスト 矢部武)
――中間選挙で野党共和党は上下両院の過半数を奪還できるか。
米国で最も人気の高い政治専門サイト「ポリティコ」のシニア・エディター。ワシントンの連邦議会専門誌記者、AP通信記者、政治経済専門誌「選挙とキャンペーン」編集長などを経て現職。テレビの人気トーク番組などにも頻繁に出演し、米国の政治情勢や選挙の争点などについて積極的に発言している。コロンビア大学でジャーナリズム修士号を取得。
下院で共和党が過半数を奪還するには39議席増やす必要があるが、それを大きく上回る52ないし53議席獲得しそうな勢いだ(52議席として共和党231議席、民主党204議席)。中間選挙では野党が勝つことが多いが、これだけの「大勝利」はそうひんぱんにあることではない。一方、上院は民主党が現有59議席(無所属2を含む)から52ないし51議席ぐらいまで減らしそうだが、過半数はなんとか維持するのではないか。
これによってホワイトハウスと議会上院は民主党が、下院は共和党が支配するという権力分散(ねじれ議会)の状態となる。
――与党民主党の「大敗」の原因は何か。
いくつか考えられるが、第1に経済状況が良くないことだ。米国は不況に陥って約3年になるが、景気回復の見通しはなく、多くの人が仕事に就けず、人々の怒り・不満は最高潮に達している。2つ目は医療保険改革など人々があまり望まない政策をオバマ政権が強行に進めていることだ。3つ目は過去2回の選挙で民主党が勝ちすぎたことに対する揺り戻しである。
オバマ大統領の支持率はつねに政策よりもパーソナリティ(個人的な資質)に負うところが大きい。世論調査でも大統領の個人的な資質に対する支持は50%を超えるが、政策に関しては30%台になってしまう。
米国の主流層は依然としてかなり保守的であり、オバマ政権の巨額の財政出動を伴う「過剰な干渉」政策に対する反発が強い。彼らは連邦政府による生活やビジネスへの干渉は最小限にすべきと考えているのだ。