企業・団体献金受け入れ再開は
“マニフェスト違反”ではないが…

 民主党は、10月26日、党常任幹事会で、企業・団体献金の受け入れ再開を決めた。

 党内外の批判に対して、岡田克也幹事長はマニフェストに違反するものではないと弁明。菅直人首相も同様のコメントで追認している。

 昨年の総選挙のマニフェストで、民主党は法改正をして「3年後に企業・団体献金を全面禁止する」ことを公約した。そして、それまでの「当面の措置」として、公共事業の年間受注額が1億円を越える企業・団体からの献金を受けないことを唱えた。

 今回の受け入れ再開の企業・団体は、1億円未満に限るとしている。

 だが、民主党は政権交代後、企業・団体からの献金を全面的に自粛して、参院選に臨んだのである。

 なるほど、今回の決定は厳密に言うと、マニフェスト違反ではないかも知れない。しかし、常識的に考えて、少なくとも「クリーンな政治」を声高に叫んできた菅政権の精神に反するし、方向を大きく転換した印象は否めない。

民主党が方向転換に至った6つの理由

 今回の方向転換を促した事情や理由として、次の諸点が指摘できるだろう。

(1)参院選での支出が膨らみ、党財政を圧迫するようになった。

 当選者に対する資金援助は、選挙が終われば終了するが、落選者については、その後の資金援助も続ける場合がある。今回のように、大敗すると、落選者の政治活動費だけでも巨額になるだろう。

(2)当てにしていた個人献金が伸びないこと。

 特に、政権交代後の迷走によって、民主党への個人献金は極度に減少したと言われる。個人献金は、支援者の「気持」によって揺れ動くもの。熱気がなくなれば、当然それに連動して先細るものだ。

(3)党財政が、政党交付金(税金)に過度に依存することを避けたい。

 民主党は、党収入の8割を政党交付金が占めていると言われる。自民党と比べてもその依存度は突出している。

 個人献金の不足分を、企業・団体献金で埋めて、税金への依存度を薄めたいのだろう。