島村 10名で1万7000人を対象にした研修となると、かなり過密なスケジュールになりそうです。

川村 はい。札幌や福岡も含めて年間800回くらいになりましたから、講師からは「定年前より忙しい」とお叱りを受けたこともあります(笑)。

島村 現場も忙しいでしょうから、「研修にばかり時間をかけられない」という声が上がることが想像できます。

川村 社員の業績評価の基準として、年間目標設定のうち10%以上を、管理職の場合は人材育成に、非管理職社員は自己研鑽にあてるというものがあるので、反発はそれほどありませんでした。それでも、2015年と2016年、強制参加型の研修を徹底的に増やした時期には「多すぎる」という声も一部聞こえてきました。

 そこで2017年に、強制ではなく主体的に選んで参加する手挙げ式中心の研修プラットフォームを導入しました。それが企業内大学として設立したJ:COMユニバーシティです。設立にあたっては、他社の企業内大学で行われている研修の内製化事例を参考にしました。

2017年に企業内大学
J:COMユニバーシティを設立

J:COMユニバーシティ開校初回講座には160人の社員が集まった

島村 なぜ、企業内大学の設立に踏み切ったのでしょうか。

川村 決定的な出来事がありました。本社にはセミナールームが6部屋あり、そこでは毎日のように何かしらの研修が行われているのですが、あるとき、研修のために本社に来た従業員から、「自分の受けるべき研修はどこの部屋なのか」と聞かれたので、研修名は何かと尋ね返したら「わかりません」と。

島村 つまり、なんの研修を受けに来たのか把握していないということですか。

川村 そうなんです。受講必須の研修を増やしたことにより、いつの間にか学びに受動的な社員を増やしてしまっていることに気づいたんです。そこで、強制型研修の限界を感じました。自主的に学び、会社の将来を「ジブンゴト化」できる従業員を育てなくてはならないと痛感しました。それが、J:COMユニバーシティの構想につながりました。強制型研修は必修科目として残しましたが、部門を超えて、学びたいことはいくらでも学べる選択科目を数多く用意しました。