政府が全国に先駆けて緊急事態宣言を発令した7都府県で発令から2週間が経過した。国は、「人と人との接触を7〜8割減らす」ことを目標に掲げている。ダイヤモンド・プリンセス号の騒動が起きていた2月頃からの地下鉄やJRの利用者数推移から、政府や東京都の呼びかけがどの程度、通勤電車利用者を減らしてきたのか、検証してみよう。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
緊急事態宣言で
乗客はどのくらい減ったか?
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、全国に先駆けて緊急事態宣言が発令された、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県では、発令から2週間が経過した。
政府はこれらの地域において感染拡大を抑制するために、人と人との接触を最低7割、極力8割減らすことを目標に掲げ、「オフィスでの仕事は原則自宅で行い、どうしても出勤が必要な場合も出勤者を最低7割は減らす」ことを求めている。では通勤の要である鉄道は、どれほど利用を減らせているのだろうか。
東京メトロによると、4月3日から9日まで朝ラッシュ時間帯の利用者(全線)の減少率(対前年比)は以下の通りだ(左から順に、午前7時~7時半、7時半~8時、8時~8時半、8時半~9時の減少率)。
4月3日(金) △10% △20% △34% △44%
4月6日(月) △11% △23% △31% △46%
4月7日(火) △21% △34% △43% △53%
4月8日(水) △37% △47% △55% △66%
4月9日(木) △38% △51% △58% △68%
6日夜に安倍晋三首相が「明日にも緊急事態宣言を発出」する旨の会見を行っており、6日から7日にかけ、利用率は各時間帯とも概ね10ポイント低下している。
4月7日夜に緊急事態宣言が発令されたことで、一夜明けた8日の朝ラッシュ各時間帯の利用者数はさらに10ポイントの減少。結局4月3日から9日にかけての1週間で、各時間帯とも概ね25~30ポイント、利用率が低下したことになる。
一方、都営地下鉄も、東京都の新型コロナウイルス感染症対策サイトで、新型コロナウイルス騒動が本格化する以前、今年1月20日~24日の平均値と比較した利用者の減少率を発表している(左から順に、午前6時半~7時半、7時半~9時半、9時半~10時半の減少率)。
3月30日~4月2日 △10% △35% △31%
4月6日 ~4月9日 △21% △49% △50%
4月13日~4月16日 △40% △65% △65%
東京メトロが日ごとの数字なのに対し、都営地下鉄は月曜日から木曜日の平均値で、また時間帯の区分けも異なっているため単純比較はできないが、おおむね同様の傾向を示していると見ていいだろう。