なぜカルピスの生みの親は90歳でも現役でいられたかイラスト/びごーじょうじ

 日本初の乳酸菌飲料カルピスを生み出した実業家、三島海雲は90歳を迎えてなお現役という長寿者だった。彼は89歳の時に自らの健康法を披露している(『私の履歴書』より)。

 まず1日の時間を、10時間を睡眠に、4時間を執務に、2時間を読書に割り振り、そして残る8時間を体力維持のための時間と定め、規則正しい生活を送っていたという。

 次に食生活についてだ。彼は天海僧正と当時日本一の長寿者だった中村重兵衛を参考に「生きた海水魚、すなわち伊勢エビ、車エビ、まきエビ、アワビ、カキ、ウニなどを生きたまま食べること」を尊んでいた。特にアワビの肝は効果が早い、と三島は語っている。確かにエビ類は高タンパク、低脂肪、アワビやカキなどは亜鉛などのミネラルを多く含む健康食である。

 3つ目に挙げているのが散歩である。医師から「足が弱ると脳の働きが悪くなる」と教えられた三島は毎日、朝食前に4000~5000歩を日課としていた。足は第2の心臓と言われ、全身の血流量と深く関係している。軽度の認知症であれば軽い筋肉トレーニングで改善されるという実験結果もあり、三島の健康法は理にかなっている。

 さらに彼は1日3回、食事の前に温浴をして、手足を温めていた。就寝前の全身入浴を含めると1日4回、温浴していたことになる。温浴にも毛細血管の減少を防ぐ効果が期待できる。人間は加齢とともに血流が悪くなり、毛細血管が減少していく。すると栄養素や酸素が体の隅々まで行き渡らなくなってしまうのである。そこで重要になるのが運動や温浴。これらの習慣によって血流がよくなり、結果として毛細血管の減少を防ぐことができる。