『週刊ダイヤモンド』10月15日号の第1特集は「百花繚乱 ニッポンのリゾート」です。長らくリゾート後進国と言われてきた日本ですが、近年はグランピングや「動くリゾート」など新しいジャンルが誕生し、異業種や外資ホテルの参入も相次いでいます。気がつけば、日本は個性あふれるリゾートの百花繚乱状態。晩秋の余暇に向けて、「リゾート選びの教科書」をお届けします。

  京都市北区鷹峯町。金閣の北側にある広大な敷地で、ある一つのプロジェクトが進行している。
「アマン京都」構想──。
 業界の革命児で知られるアマンリゾーツ(本社はロンドン)が、京都でのリゾートホテル建設に向けて動き始めていることが分かった。ある関係者によれば、「すでに建築許可は下りており」、計画は最終段階に入っているという。
 実現すれば、2014年12月開業のアマン東京、今年3月開業のアマネムに続き、日本では3軒目ということになる。
 この構想が最初に明らかになったのは、今から10年も前のことだ。当時、まだアマンの経営には、伝説の創業者として知られるエイドリアン・ゼッカCEOがいた。親日派のゼッカ氏は、アマン京都(予定地にある日本庭園を生かした設計になることから、社内では「アマンニワ」と呼ばれていた)の実現に並々ならぬ情熱を燃やしていたようだ。当初の予定通り08年の開業となれば、日本で最初のアマンリゾートになるはずだった。
 だが、二つの意味において、アマン京都構想は頓挫したかのように見えた。
 一つ目は、経営の問題である。その後、ゼッカ氏は株主などによって経営から追放されている。
 さらに厄介なことに、経営を引き継いだロシア人のウラジスラフ・ドロニン氏と米国人のオマール・アマナット氏が経営戦略をめぐって対立し、訴訟に発展した。
 訴訟はドロニン氏優勢で決着したようだが、当初ゼッカ氏はアマナット氏に肩入れしたとされ、親日派のゼッカ氏のアシストなくして京都構想の実現は困難なようにも見えた。
 二つ目は、建設予定地の制約の問題である。
 都市計画法で「第一種住居専用地域」、もしくは「第一種低層住居専用地域」に指定されていたことだ。前者ならば3000平方㍍を超えるホテル・旅館は建設できないし、後者ならばホテル・旅館それ自体を建設できない。
 ところが、である。今回、都市計画法の制約のハードルを乗り越えられたもようだ。
「アマン京都」の設計を担当するのは、オーストラリア人建築家のケリー・ヒル氏。アマンではおなじみの建築家で、アマヌサ(バリ)、アマンコラ(ブータン)、アマン東京の設計を担当した。
 そもそも、ヒル氏は建設予定地をゼッカ氏に仲介した張本人でもあり、10年もの長きにわたって、アマン京都の設計構想を温めていたことになる。あるアマン関係者によれば、最近も訪日していたといい、京都プロジェクトに進捗があるかもしれない。
 それだけではない。アマンリゾーツは京都プロジェクトと並行して、北海道のニセコへの進出も検討しているようだ。
 ニセコには、パークハイアットやザ・リッツ・カールトンも進出を決めており、まさしく上陸ラッシュ。世界のラグジュアリーブランドが、日本の主要観光地のリゾート建設に躍起になっている。ニッポンのリゾートは大きな転換期を迎えている。

旅のプロが選ぶ ベストリゾート129選

『週刊ダイヤモンド』10月15日号の第1特集は、「百花繚乱 ニッポンのリゾート」です。
 今、ニッポンのリゾートが面白いことになっています。
 例えば、グランピング──。グラマラスとキャンピングを掛け合わせた造語で、高級ホテル並みの豪華なサービスを受けながら、手ぶらでキャンプ体験ができるラグジュアリーリゾートです。
 新国立競技場の設計で時の人となった建築家・隈研吾氏は、実はリゾート建築も手がけています。有名建築家が手がけるホテル・旅館も続々登場しています。
 さらに、異業種参入も相次いでいます。高級レストランのひらまつや婚礼大手のテイクアンドギヴ・ニーズがホテル事業を本格化させています。
 とにかく、エッジの効いたリゾートが、雨後のたけのこのように生まれています。気がつけば、日本は個性あふれるリゾートの百花繚乱状態になっているのです。
 本誌では、リゾートに詳しいジャーナリストや専門家の方々にアンケートを実施。リゾートを目的別に厳選してもらい、ランキングを作成しました。
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 そのほか、「とにかく食事が美味しい!」部門や「秋・冬こそ訪れたい!」部門、「ファミリーでとことん楽しめる!」部門など目的別ランキングも一挙に掲載しています。本特集では、ランキングで選ばれた施設に編集部おすすめの施設を加えた、ベストリゾート129選を掲載しています。
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