1月24日、講演のため、富山に来ている。厳しい道のりだった。大雪のため、富山行きの午前便が欠航となった。午後は飛ぶには飛んだが天候次第では羽田へのUターンもあるといわれ、小松行きの便に変えざるを得なかった。小松空港からはタクシーで小松駅へ、さらに電車に揺られて、雪がしんしんと降りしきる富山へと進む。

 ほぼ貸し切り状態のグリーン車で、車窓の外を流れる黄昏の景色をぼんやりと見ながら、私の講演活動を通して見えてくる中国と日本の各地方自治体との関係に思いを馳せた。

北海道人気を実現したのは
映画以上に地道な努力

 日本の地方に行くと、近年は、中国人の間で高まる北海道人気が話題に出ることが多い。地方自治体の職員たちが、北海道を舞台に撮影された中国のラブコメディ映画「非誠勿擾」(2008年公開)の影響力に感嘆している。その時、私がいつも次のように私の理解を説明する。

「もちろんこの映画の影響力は大きかったが、もし中国における北海道の人気度を沸騰するお湯にたとえるなら、それまでに北海道というやかんにあるお湯は、すでに97度くらいの温度になっていた。そこへさらに映画による3度を足して一気に100度となって沸騰したのだ」

 たとえば、2004年は秋だけで北海道に6回も講演に呼ばれた。観光が講演のテーマだった。札幌のホテルに泊まると、テレビの横にはその日のテレビ番組表の中国語訳も用意されていた。机の上に置いてある総支配人へのクレーム用紙までもが、中国語訳になっている。すっかり感心した。苫小牧のグランドホテルニュー王子の中華レストランでは、ハーフサイズが注文できるというサービスが実施されている。一人で出張中の私は、珍しくホテルで中華の夕食を楽しんだ。