キャッシュレス化に伴うATMの変化や異業種との競争について、みずほフィナンシャルグループの坂井辰史社長に話を聞いた。

坂井辰史(みずほフィナンシャルグループ社長)Photo by Masato Kato

──キャッシュレス決済の進展を見越して、他の大手銀行がATMの台数を削減する方向に動いているとされています。みずほ銀行はどうする考えですか。

 誤解を恐れずに言えば、ATMは公衆電話と同じ道をたどるかもしれません。今は街のあちこちにありますが、何年か後にはほぼなくなる時代が来るかもしれない。

 今は利用数に応じて、店舗内ATMの台数を減らしたり、店舗外ATMの設置場所を入れ替えたりしています。顧客が必要としないものを減らし、必要なものを増やすという考えが頭にあるからです。

 ただ、ATMの利用数全体を見ると、この10年間は横ばいです。だからこそ、みずほ銀行の今の課題はATMの増減ではなく、より顧客利便性の高いキャッシュレス決済システムをどう根付かせるかです。それが(結果的に)ATMの減少につながるでしょう。

──金融グループのトップという立場から、決済のデジタル化を推進する上で、どのような戦略や将来像を描いていますか。

 近年、世界的にテクノロジーの発展に伴って情報通信産業がものすごい勢いで伸びており、世界経済やそれら関連企業の時価総額を押し上げています。一方、金融業は衰退産業と捉えられがち。確かに、そういう側面はあります。