ムダな会議による企業の損失は15億円!調査でわかったダラダラ仕事の元凶長時間労働について議論する際、しばしば指摘されるのが「会議、打ち合わせの多さ」だ。実態調査を行うと、利益よりもムダが想像以上に多い実態が浮かび上がってくる(写真はイメージです) Photo:PIXTA

日本企業で行われる
会議のパフォーマンスとは?

 長時間労働や労働生産性について議論する際、しばしば指摘されるのが、「会議、打ち合わせの多さ」です。実感として、会議を1日に4回、5回と繰り返すと、ほとんど会議をするために仕事をしているような感覚に陥ります。

 では、日本企業において会議はどれくらい開かれているのでしょうか。そしてそれは、どれくらいパフォーマンスに寄与しているのでしょうか。パーソル総合研究所では、立教大学・中原淳教授と共に、長時間労働についての大規模調査を行っています。今回は、その調査結果から会議にまつわる分析について見てみましょう。

 会議量は役職によって大きく異なり、全体の平均時間を出してもあまり役に立ちません。我々の調査結果から、役職別の年間の社内会議・打ち合わせの時間を推計しました。

 この時間に、顧客・クライアントなどの社外関係者との打ち合わせは入っていません。メンバー層で週に3時間を超え、係長級で6時間、部長級になると8.6時間になりました。これを年間の時間に拡大推計すると、メンバー層で154時間、部長級では434時間を超えます。これは、年間の就業時間全体の17.6%を社内会議に費やしている計算になります。そして、従業員規模が多ければ多いほど、この上司の会議時間は飛躍的に伸び、1万人を超える大企業になると、630時間にも及びます。

世の中の会議はいかに
「ムダ」だと思われているか

 さて、かなりの時間数を会議に費やしていることが確認できました。次の問題は、これらの時間が、どのくらい企業の経営や利益にとって役に立っているか、逆に言えば、このうちどれくらいが「ムダ」な時間なのか、ということです。メンバー層に「ムダだ」「減らせる」と感じる会議の割合を聞くと、23.3%もの会議を「ムダ」と感じていました。おおよそ4分の1もの会議をムダと感じていることになります。 

 ただ、メンバー層にとってはムダに思えても、より経営に近い層にとってはムダな会議とは言えない、ということは往々にしてありそうです。しかし、データを見るとどうやら実情は逆です。係長以上のマネジメント層(以下「上司」層と表記)のほうが、さらにムダと感じる会議の割合が多くなります。27.5%と3割に届きそうな割合の会議をムダだと感じています。