ゴーン氏Photo by Takashi Aoyama/gettyimages

2018年12月15日号の週刊ダイヤモンド第一特集は「日産 最悪シナリオ」です。カルロス・ゴーン元会長の逮捕で揺れる日産の行く末を、特集取材班が徹底取材しました。その特集より、日産自動車の株式43.4%を保有するルノーが、日産からの配当と株式の売却利益によって潤っている現状を分析した記事を、ダイヤモンド・オンラインで特別公開します。

 仏ルノーによる救済劇から19年。立ち直った日産自動車は、ルノーの業績に大きく貢献している。日産の株式の43.4%を保有しているので、その持ち分の利益を計上できるからだ。例えば、2017年12月期のルノーの純利益52億1000万ユーロのうち、過半に当たる27億9100万ユーロが日産の貢献分である。

 もっとも、これは会計上の話であって、ルノーの懐に入ってくるおカネそのものではない。日産株への投資の見返りとして、現実に入ってくるおカネは日産からの配当と日産株式の売却収入だ。

 まず、配当収入を見てみよう。日産は、ルノーと提携した翌期の2000年度(01年3月期)から復配し、リーマンショック後の10年3月期に無配になった後、再び復配した。

 期末時点でのルノーの日産の保有株数に配当額を掛けて受取額を算出した結果が下図だ。19年間の受取配当額合計は8674億円に達する。すでに、ルノーの日産株式購入額である7094億円を優に超えている。