HRテック写真はイメージです Photo:PIXTA

人事業務をITで効率化するHRテック(HRテクノロジー)は、人事評価以外にも人事のあらゆる分野で浸透しつつある。労務、採用、さらには会計の分野までさまざまなテクノロジーが登場しており、さらには連携も始めているという。(談/慶應大学大学院経営管理研究科特任教授 岩本 隆、構成・執筆/ライター 相馬留美)

人材採用でHRテック活用
若手社員採用に成功した町工場

 中小企業のHRテックのうち、人事評価については以前の記事(『「人事テクノロジー」で成功した中小企業、養豚業者やスポーツチームも』)でも紹介しましたが、今回は、採用や労務管理など、これから注目される分野を取り上げてみましょう。

 採用に関しては、特に中小企業の場合は、「応募が来ない」という悩みがもっとも大きいものです。そのため、HRテックも、応募が来ないという悩みを解消するためのツールが注目されており、会社の魅力を伝えるためのホームページ作り、HRテックでいうと、コンテンツマネジメントシステム(CMS)が盛んになってきています。

 他の企業と比較したとき、魅力的なホームページか否かが、応募時に影響してきます。CMSは導入・運用コストがあまりかからず、テンプレート通りにぺたぺた写真とテキストを貼り付けるだけで、パソコンの知識がある人なら誰でも魅力的なホームページを作ることができるため、大手から零細企業まで幅広く導入が進んでいます。

 中小企業の社長の多くは、採用するには紙媒体に出稿が必要だと思っているふしがありますが、実際はテクノロジーのハードルはどんどん下がっているんです。リクナビやマイナビで募集しても、数年間新卒採用の応募ゼロということも少なくありません。

 例えば町工場でも、CMSを使うだけで、20代の若手社員がどんどん入ってきている事例があります。