HRテクノロジーの急速な発展・普及などを背景に、人事のデータ活用が注目されている。人事データの活用領域の飛躍的拡大が予想される中で、人事部門にはどのような対応が求められるのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

HRテクノロジーの急速な発展・普及などを背景に、人事のデータ活用が注目されている。人事データの活用領域の飛躍的拡大が予想される中で、人事部門にはどのような対応が求められるのであろうか。2014年より実務家向けの実践ワークショップ「人事情報活用研究会」を主宰する大湾秀雄・早稲田大学政治経済学術院教授が、データ活用による人事の課題解決について、5つの視点から語る。

PDCAサイクルを意識しなかった
日本の人事に「科学」が必要な理由

 今後、日本企業における人事のデータ活用の拡大が予想されます。このことは、企業の人事においてPDCAサイクルを回す必要性が高まっていることを意味します。

 営業、生産などビジネスの現場では、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)というPDCAサイクルを回し、自分たちの活動の妥当性を客観的に検証するのが当たり前です。そんな中、人事に限ってPDCAサイクルをあまり意識することなく、各種の人事施策が運用されてきた側面があります。

 しかしながら、人手不足、人材定着、生産性向上、従業員のメンタルヘルス、ワークライフバランスなどの課題に直面する中で、企業は人事のPDCAサイクルを回し、各種の人事施策を客観的に検証する必要に迫られています。そして、人事施策を客観的に検証するためにはデータに裏付けられたエビデンスが不可欠です。このように、データを活用しながら人事のPDCAサイクルを回すことこそが、「人事を科学する」ことになります。

 女性活躍推進、従業員のストレスチェック、働き方改革など政府が企業に対して人事データに基づく改革を促していることも、人事のデータ活用に拍車をかけることになるでしょう。ここでは5つのテーマから、日本の人事に科学が必要な理由を述べていきます。

【理由1】人材難と離職防止
取りこぼしと離職リスクを防げ

 最初のテーマは、採用における人材難と離職防止です。少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少により、わが国は本格的な人手不足時代に突入しています。採用における売り手市場が続く中で、企業は自社が求める人材を取りこぼしなく採用することが重要となってきます。