ボストンコンサルティング社長として名を馳せたビジネス界きっての読書家が、
どう読書と向き合ってきたか、何を得てきたか、どう活かしてきたかを縦横無尽に語り尽くす。
自分を高める教養と洞察力が身につき、本を武器に一生を楽しむ、
トップ1%が実践する『できる人の読書術』を説き明かす。

読書で「巨人の肩に乗る」

先達の知見や発見を得る

書物とは、それぞれの著者が魂を揺さぶられながら、さまざまな経験と知恵を凝縮して文章化したものである。
そこには著者が過去に膨大な時間をかけて学習し、蓄積した知識と知恵が反映されている。
それを表現する「巨人の肩に乗る」という言葉がある。

万有引力の法則で知られる17世紀の偉大な物理学者であるアイザック・ニュートンは、次のような言葉を残している。

「私が遥か彼方まで見通せたのだとしたら、それは巨人たちの肩に立っていたからだ」

いうまでもなく、巨人とは過去の先達の知見や発見を擬人化したものである。

最初にこの表現を使ったのは、“シャルトルのベルナール”と呼ばれている12世紀のフランス人哲学者だったと伝えられている。
彼には、次のような言葉が残っている。

「我々は巨人の肩の上に立つ小人のようなものであり、それゆえに我々は昔より多くのものを、より遠くのものを見ることができる」

“シャルトルのベルナール”は、パリの南西にあるシャルトル大聖堂の附属学校に所属していた。
中世のヨーロッパでローマ・カトリック教会が、他を圧する絶大なる力を誇っていたのは、教会くらいしか巨人の肩に乗る機会がなかったからだ。