ボストンコンサルティング社長として名を馳せたビジネス界きっての読書家が、
どう読書と向き合ってきたか、何を得てきたか、どう活かしてきたかを縦横無尽に語り尽くす。
自分を高める教養と洞察力が身につき、本を武器に一生を楽しむ、
トップ1%が実践する『できる人の読書術』を説き明かす。
AIを進歩させたように
読書が人間を成長させる
近い将来、AIが社会の主役に躍り出る時代がやってくる。
私が創業したドリームインキュベータは、AIとIoT(モノのインターネット)を得意分野としている。
これは苦肉の策から生まれた。
既存の生活分野ではマッキンゼー・アンド・カンパニーやボストン・コンサルティング・グループという戦略系コンサルティングファームのほうが経験の蓄積に勝り、私の会社のような新参者はなかなか太刀打ちできない。
しかし、AIとIoTのようなこれからの世界では、われわれも業界の巨人たちとイーブンであり、決して負けていないからである。
AIは、当初の想像を遥かに超えた長足の進化を見せている。
原動力になっているのは、ディープラーニングという技術だ。
読書もディープラーニングであり、AIを進歩させたように、読書が人間を成長させる糧になると私は信じている。
トラディショナルな読書と、最先端のイノベーションであるディープラーニングが、どう結びつくのか?
読者の頭には、クエスチョンマークが飛びまわっているかもしれない。
順を追って説明しよう。
まずは、AIをめぐる現状を振り返ってみよう。
囲碁やチェス、将棋といったボードゲーム(盤上ゲーム)の世界では、すでにAIが世界のトッププロたちを打ち負かしている。
なかでも、囲碁でAIが人間を上回った事実は、多くの人に衝撃を与えた。
囲碁の盤面は19×19=361の着点がある。
そこに打つ手数は、この宇宙に存在する原子の数よりも多いとされる。
いくらAIでも、そこから最適な手を瞬時に導き出すのは、時間的に難しいと考えられていた。
2016年、世界のトップ棋士を破ったのは、アメリカのIT大手グーグル傘下の企業が開発した『アルファ碁』だった。
その後、アルファ碁の進化版である『アルファ碁ゼロ』が登場する。
続いて現れた中国のIT大手テンセントが開発した囲碁AI『絶芸』も、人間を寄せつけない性能を誇っている。
このようにAIは、日進月歩というステレオタイプの形容が当てはまらないくらい猛烈なスピードで進化し続けている。
AIの活躍の場は、囲碁やチェスといったボードゲームの世界に限られるわけではない。
ボードゲームは、AIにとってまさにお遊びにすぎないのだ。