文系だから読めないが通用する時代ではなく、「ビジネススキル」としての「数字を読む能力」は求められています。ましてや、経営者は財務戦略を敷くにあたり、「数字が読めない」では、通用しません。新刊『財務諸表は三角でわかる 数字の読めない社長の定番質問に答えた財務の基本と実践』から一部抜粋し、わかりやすく紹介していきます。先代から事業を引き継いだ2代目社長の質問に答えていく形ですすめます。

(2代目社長からの質問)
「利益とお金(現預金)が一致しないということは、逆に利益が出ていないのにお金が増えることもあるんですか? だとしたら利益を出さなくていいということになりませんか?」


 利益を出さなければ、いつかは必ずお金が減りますから、絶対にダメです。

 しかし、「お金が増えているのに利益が出ていない」ということもあります。

 借入による調達を増やしていった結果、赤字なのに現預金が増えていくということはよくあります。これで利益が出ていると勘違いしてしまうと非常に危険です。借入による資金調達は重要ですが、きちんと毎月試算表を見てこの状態にならないようにしなければいけません。

 他の要因としては、「減価償却費」が考えられます。

 たとえば機械に投資した場合、機械は通常資産になるため、B/Sに計上されます。すると、P/Lで利益を計算するときには出てこなくなってしまいます。

 でも機械を使って収益を得ているのに、利益の計算に関係ないのはおかしいですよね?

 だからといって何年間か使う機械を買った年に全額費用にしてしまうとその年だけ大きく費用が出て、翌年からはまったく出てこないというおかしな状態になってしまいます。

 たとえば、機械を5年の間使うのであれば、機械の購入費用を5年間に割り振って費用に計上すべきです。

 そこで「減価償却」という考えが出てきます。