【伊藤 蘭インタビュー1】<br />「伊藤 蘭に歌ってほしい曲」が110曲も集まったんです。どれもいい曲ばかりで、全部歌いたいぐらいだったんですよ

41年間、その歌声を封印していた伊藤 蘭が、突然のソロ歌手デビュー。3月14日に発表されたスポーツ新聞やネットのニュースに、現役時代のキャンディーズを知るファン「年下の男のおじさん」(年上も含む)たちは狂喜した。その思いや歌についてなど、現役時代に100ステージを追っかけ、2008年に新生なった「全キャン連」(全国キャンディーズ連盟)代表である、著述家の石黒謙吾氏が、熱くインタビューし、マニアックに掘り下げます。(撮影/榊 智朗)

「実は、以前少し、歌を出そうかって話になったことはあったんですけど」

(インタビューの部屋に蘭さんがにこやかに登場)
伊藤 おひさしぶりです。

(ド緊張アブラ汗)
石黒 あ、あ、覚えていていただいてたとは光栄です……。11年前、キャンディーズ解散後初めて「キャンディーズのことだけ」で1時間半もインタビューさせていただきまして……。『週刊朝日』別冊の『週刊昭和<79年>』の記事でした。その節はありがとうございました。

伊藤 もちろん覚えてますよ~。いろいろと当時の濃い話を聞いていただいて。たしかそのあと映画「少年H」公開の時も、夫と2人で受けたインタビューで来ていただいてますよね。

石黒 はい。あれは6年前になりますね。『クロワッサン』の編集者が気を利かせてくれて「石黒さん、インタビューされます?」と。ご夫妻お2人だったのでまた違った大緊張で……。

伊藤 もう6年なんですね。夫婦で同じ映画に出るという貴重な体験ができました。

石黒 そして今日、こんなビッグニュースということで三たびお話を伺えることとなりました。まず最初にお伝えしておかねばと思うことは、お聞きして記事にしていく内容はもちろん、長きにわたり女優として活躍されてきた蘭さんが、41年目にソロ歌手としてデビューしたことや、歌、音楽についてとなるわけです。しかしながら、僕たち当時のファンとしては、それら各々の事柄と、キャンディーズの関連性はどうしてもお聞きしなければと。今の歌との関わりという意味で。そのあたりは、お願いできればと。

伊藤 はい、どうぞどうぞ、なんなりと聞いてください!

石黒 恐縮ながらうれしいお言葉を……。最初に、全国300万のキャンファン、そして同世代の方々を代表して申し上げますと……あの日の発表で、生きる活力が湧いてきた人、たくさんいると思うんです。歳の話もなんですが(笑)、64歳で(小声)、ソロ歌手でリスタートなんて、すごく勇気いるのではないかと……。人生に疲れ気味のミドルエイジは、ぐっと背中を押していただけたはずです!

伊藤 そう言っていただけると嬉しいですよ。なにがなんでも、みたいな気合でって感じでもないんですけど、自然にいい流れになって、お声かけていただいたならば、よし、やろうかな、となって。

石黒 事前にいただいたメディア用リリースには「すべてのタイミングが合ったという感じで、思いがけず弾みがついてしまったというか(笑)」とありますね。今まで、歌をやろう! とまで気持ちが至ったことはなかったのですか?

伊藤 なかったですねえ。いえまあ、歌はもちろんずっと好きでしたし、歌っていると楽しいと感じてはいました。ただ、特に正式に声がかかるということまでは(マネージャーを見ながら)……なかった、ので(笑)。

石黒 (笑)。僕は ずっと「もったいないな」とは思い続けていました。

伊藤 実は、途中で少し話になったことはあったんです。漠然となんですが。けれど、正式に成立するまでには至らずで。自分の曲を出すというところまでは。