米中の両首脳Photo:The New York Times/Redux/AFLO

G20習近平談話から
読み取れる3つの思惑

 G20大阪サミットが閉幕した。

「中国民主化研究とは中国共産党研究である」という立場を取る本連載にとって、国内的には抑圧的、対外的には拡張的な態勢を見せてきた習近平国家主席(以下、敬称略)率いる中国共産党が、G20という国際舞台をどう活用し、自らの権益を主張していくのかを検証する作業は重要である。中国は自らが他の多くの新興国と共に所属し、参加してきたG20という舞台を戦略的に重視してきた。西側先進国で構成されるG7よりも、多くの非西側新興国を含めたG20のほうが国際社会全体の利益や願望を代表していると提唱してきた経緯がある。

 習近平が同サミットにて発表した談話の次の部分には、昨今における中国共産党指導部の基本的認識と立場が凝縮されているように思える。

「G20は主要な先進経済体と新興市場経済体を集めており、その経済総量は世界の90%近くを占める。我々は異なる発展の段階にあり、いくらかの問題において利益の差異や観点の摩擦が存在するのは正常なことである。大切なことは、パートナーシップの精神を掲げ、相互に尊重し、信任する態度に基づいて平等に協商し、同じところを求め、異なる点は残し、摩擦を管理し、合意を拡大することである。大国間でそれができれば、自らの利益に符号するだけでなく、世界の平和と発展にも有利に働くであろう」

 この段落から読み取れる習近平の思惑は3つある。