G20閉幕、米中貿易戦争「休戦」でも先行きを楽観できない理由デジタル経済をテーマとした会合で肩を並べる米国のトランプ大統領(左)、安倍晋三首相(中央)、中国の習近平国家主席(右)

G20(主要20カ国・地域)大阪サミットが29日、閉幕した。米中貿易戦争はひとまず“休戦”となった形だが、先行きは楽観できない。日本が調整役に奔走したサミットの場でも米中は多くの面で食い違いが表面化し、むしろ溝の深さが浮き彫りとなっているからだ。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)

 「意見の違いより共通点を見出せるよう努力を重ねてきた」。安倍晋三首相は29日午後、G20大阪サミットの議長国記者会見でこのように述べ、調整役として各国の協調に取り組んだことを強調した。確かに日本は表向き、今回の大々的な「政治ショー」の舞台で、一定の成果を挙げたようにも見える。

 首脳宣言では、プラスチックごみによる新たな海洋汚染を2050年までにゼロにする目標を明記したほか、国境を越えるデータ流通の国際ルールづくりの枠組み「大阪トラック」の創設を宣言。さらに会期中に開かれた大注目の米中首脳会談では、米国が3000億ドル超の輸入品への対中追加関税第4弾を見送る“休戦”を決め、大阪の地を起点に貿易戦争が一段と激化する最悪のシナリオは免れた。

 だが、つぶさに見ると、今回のサミットを通じてむしろ多くの面で、米国と中国の歩み寄りの難しさが浮かび上がったように映る。日本が両国の“お目付け役”となれるかがサミットの裏テーマといえる状況だったが、その試みは難航を極めたからだ。