精神障害による労災申請が過去最多を記録した。40代の専門職が、仕事の変化や人間関係により労災申請に至るケースが最も多い。問題は、有効な対応策が打てるかどうかだ。現時点で、最も有効な対応策を紹介したい。(モチベーションファクター代表取締役 山口 博)

史上最多の労災申請
40代専門職が高リスク

40代専門職が精神障害のリスクにさらされています社員の精神障害発症を未然に防ぐために、人事部にできることがある Photo:PIXTA

 厚生労働省が2018年の「過労死等の労災補償状況」を発表した。精神障害による労災申請は調査開始以来、過去最多の1820件。職種別にみると「専門的・技術的職業従事者」が最も多くて全体の25%を占め、年齢別では40歳から49歳が全体の33%と最も高い。

 支給が決定されたケースの出来事(精神障害の発病に関与したと考えられる事象)を見ると、「仕事内容・仕事量に(大きな)変化を生じさせる出来事があった」と、「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」が、ともに69件で最も多いという結果だ。

 40代の、責任の重い役割で、専門的な職務を担うビジネスパーソンが、仕事の内容や量の変化や人間関係のあつれきにより、精神障害による労災申請をせざるを得ない状況に陥ってしまっているといえる。

 肝心なことは、対策がとられているかどうかだ。その対策とは、労災申請された後の対応ということではなく、精神障害を未然に防ぐための対策だ。このように申し上げると、企業の人事部からは、「それは医師の役割なので、人事部ができることは、社員から心身の不調の申し出があったら、産業医に相談するように助言することくらいしかできない」という声が聞こえてくる。

 私はそうは思わない。医師ではない人事部スタッフでも、精神障害を未然に防ぐことができる方法がある。それも経験豊かな人事の管理職やスタッフでなくても、15分程度訓練すれば身に付けられる手法だ。