ギャップ解消は
人事部主導で実現できる

 例えば、多少のリスクはあってもチャレンジしてみることでモチベーションが上がりやすい「目標達成」型の人が、コツコツと機械的にエラーをチェックするというような「安定保障型」の仕事をしなければならない場面を思い浮かべればよい。

 あるいは、周囲の人と助け合いながら取り組むことでモチベーションが上がりやすい「他者協調」型の人が、他の人と協力しないで独自の取り組みをしなければならない「自律裁量」型の仕事をしなければならないときもそうだ。仕事と自分のモチベーションファクターの不一致が、ストレスの原因になっていることが多い。

 こうした説明をするときに必ずといって出てくる反応が、「しかし、仕事はえり好みできないので、辛抱して実行することが、ビジネスパーソンに求められている」「自分の好きな仕事ばかりできる人などほとんどいない」というものだ。

 確かに、仕事は選べない。しかし、もしリーダーが、取り組まなければならない仕事のモチベーションファクターと、メンバーのモチベーションファクターのマッチングを少しでも考えて仕事を依頼したら、ストレスの度合いは低下するのではないか。

 それでも仕事のモチベーションファクターと、自分の素のモチベーションファクターが異なるケースは出てくる。そうしたときは、自分のモチベーションファクターを仕事のモチベーションファクターに切り替えることを実行してみるだけで、実はストレスのたまり具合は大きく低下する。

 例えば、「さまざまな方法にチャレンジしながら(目標達成のモチベーションファクター)、リスクをつぶしてみる(安定保障)」「他の人の意見も参考にした上で(他者協調)、ユニークな方法に取り組んでみる(自律裁量)」というように考えたり、そのような方法で取り組んでみることだ。同じように、相手のモチベーションファクターと自分のモチベーションファクターのギャップを埋めることができる。

 特に仕事の量が増えたときや、仕事の内容が変わったときには、新しい仕事のモチベーションファクターと自分のモチベーションファクターを、このようにつなぐ作業をしておくと、ストレスを未然に防げたり、軽減できる。

 ストレスがたまる状況は千差万別だが、このようにひとつの基本的な型に従って対応することで、効果を広めやすくなる。そして、その型を広めていくことは、現場にまかせる前に、人事部が主導できることなのだ。