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文政権の「軍軽視」の表れ
軍OBたちの不満がたまる

――文大統領は韓国軍が自衛隊の情報に依存している状況をわかっているわけでしょう。

 わかってのことだと思います。しかし文政権は軍をないがしろにしているところがあるのです。革新系の人たちから見れば、軍は保守政権のもとで自分たちを弾圧してきた組織だという思いがあるのでしょう。

 文政権発足後に最初に国軍機務司令部をつぶしたことでもそれは明らかです。北朝鮮のスパイ活動を取り締まっていた調査組織で、保守政権時代、革新系の人たちはスパイだということで摘発や監視の対象になっていました。

 長年の軍事政権や保守政権下での悪弊をなくすという、積弊清算の運動が軍にも入ったわけです。機務司令部が朴政権に抗議するロウソク集会を抑えるためにクーデターを計画していたという名目でした。当時の司令官は抗議の自殺をしました。

 ですから、韓国軍には今でも文政権は許せないという感情があります。現役は表立ってそういう言動はしませんが、OBは猛反発しています。反文政権の集会に元軍人が多く参加しているのはそういう経緯があるからです。

 2018年10月に韓国・済州島であった国際観艦式の海上パレードで、韓国側が参加艦艇に対し、マスト中央に軍艦旗を掲げず、その両側に自国国旗と韓国国旗を掲げるよう要請したことがありましたが、あれも青瓦台の指示だったようです。

 軍艦旗を掲げるのは海軍の世界では常識というか義務なのに、文政権は全く無視です。日本は、結局、参加しませんでしたが、参加した10ヵ国も、軍艦旗として国旗を使っている米国も含め、オーストラリアやタイなど参加艦艇全てがマスト中央に軍艦旗を掲げてパレードに参加しました。

 さらに観艦式が終わった後、韓国海軍主催のパーティがあって各国の海軍参謀長ら軍のトップが集まりましたが、文大統領は顔を出しませんでした。それどころか、米空母の入港を阻止するため、海上デモをした反対派の集会に出席していたそうです。

 韓国軍を軽くみているということで、特に軍OBたちの不満がたまっています。GSOMIAの破棄で軍人たちは政権への不信感をさらに強めたのです。