1万人を超えるリーダーは、「同じこと」に悩んでいた。
本連載は、1万人を超えるリーダーから寄せられた「悩み」に対し、明確な答えを提示するものだ。
著者は、日本最高峰のビジネススクール「経営アカデミー」で19年以上の登壇実績を誇り、経営者や企業幹部を指導してきた浅井浩一氏。全国で年間100回以上の研修や講演を行い、コンサルタントとしても現場に入り込む。
「離職率を抑え、メンタルを病む人をゼロにし、なおかつ目標を達成し続ける」ために、リーダーとともに考え、行動し、悩みの解決を図る。業種・業態を問わず、職場再建率は100%。これまで指導してきたリーダーの数は1万人を超える。近著に『1万人のリーダーが悩んでいること』がある。

日本企業の悪習「持ち帰って検討する」病を治す方法Photo: Adobe Stock

【悩み】失敗が許されない風潮の中、いかに失敗を許容すればいいのでしょうか?

 「失敗しても私が責任を持つ」なんてセリフをドラマではよく耳にしますが、部下の失敗の責任を個人としてすべて負う覚悟を持てるリーダーは、現実にはほとんどいません。

 ほとんどの日本企業に「失敗を許さない風潮」がまん延し、リーダーたちは「失敗しないように、失敗しないように」と意思決定をします。

 しかしその風潮こそが、グローバルな競争において日本企業が後れをとる原因となっています。慎重に慎重を期して意思決定を下そうとするばかりに、その決定が「遅すぎる」のです。

 日本企業の海外法人には、現地の責任者として交渉に臨んでいるにもかかわらず、日本本社から「先走ったことをするな」と叱られるのを恐れ、「持ち帰って本社の上席と検討させていただきます」とその場での意思決定を避けるリーダーが多くいます。

 一方、海外の企業は、「どの程度の案件だったら現地で決定していいか」という権限委譲の基準が明確にできています。そのために意思決定が速い。だから日本企業は海外企業に先を越されるのです。

 とある日本企業の現地責任者は「本社からは、責任を持って組織をリードしろと言われている。聞こえはいいが、まるで『現地で何か失敗が起きたらすべてお前の責任だからな』と脅されているようだ」と嘆きます。

 これでは石橋を叩きに叩いた安全策をとるのも無理はありません。どうすればいいのでしょうか。