渋谷スクランブル交差点リーマンショックどころではない。日本の4-6月期実質GDPは、前期比年率27.8%も減少し、戦後最大の落ち込みとなった(写真はイメージです) Photo:PIXTA

GDP成長率は戦後最大の減少
インバウンド需要はほぼ消滅

 内閣府は、2018年10月を暫定の景気の「山」と認定し、同年11月以降、日本景気は後退局面にあることを発表した。また足元については、経済全体の動向を示すGDP(国内総生産)で日本景気が大きく落ち込んだことも確認されている。

 8月17日発表の20年4-6月期のGDP統計・1次速報では、実質GDPが前期比年率27.8%の減少となったことが示された。落ち込み幅は、リーマンショックを契機とした世界金融危機時(09年1-3月期)の同17.8%減を超えており、戦後最大の減少とされている。

 実質GDPは、19年10月の消費税引き上げによって同年10-12月期に落ち込み、翌20年1-3月期も、「消費増税前の駆け込みの反動」の反動から前期比プラス成長が見込まれていたが、マイナス成長を記録(前期比年率2.5%減)。4-6月期には過去最大の減少となり、3四半期連続のマイナス成長となった。

 今年(20年)の景気の落ち込みは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が大きい。感染拡大を受けて政府・自治体が打ち出した外出自粛や休業の要請により、個人消費が急減したほか、海外でも同様に経済活動が大幅に落ち込み、日本企業の輸出が大幅に減少している。

 実質GDPの内訳をみると、個人消費は1-3月期に前期比年率で3.1%減少し、4-6月期は同28.9%減となった。輸出は1-3月期に同19.9%減、4-6月期には同56.0%減少と、2四半期連続の二桁マイナスを記録した。輸出にはインバウンド需要(非居住者家計の国内での直接購入)が含まれるが、インバウンド需要の減少率(前期比年率)は、1-3月期が90.8%、4-6月期は99.9%を記録。日本のインバウンド需要は、ほぼ消滅したことになる。