銀座コロナ禍で経済活動の落ち込みが起きている一方、株価は堅調な推移が続いている。この状況をどう分析するべきか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

堅調な日本株の背景
最悪に至らなかった個人消費

 新型コロナウイルスの感染の拡大を受けた経済活動の落ち込みが確認される一方、株価は堅調な推移が続いている。日経平均株価は、終値ベースで3月19日の1万6552円をボトムに上昇基調に転じ、6月19日は2万2478円(終値)と、3ヵ月で36%程度の上昇となった。

 株価が堅調に推移する背景には、景気の落ち込みが思ったほど急激なものにならなかったほか、景気がすでにボトムをつけ、回復が続くとの見方が出ていることがある。

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、政府が緊急事態宣言を発出し、地方自治体が外出自粛や休業を要請した当時、個人消費の落ち込みがどの程度になるかを見出すことは難しかった。また、消費全体の5割近くを占める不要不急の支出が、最悪の場合、3~6ヵ月ほどゼロとなることを想定する試算も多かった。しかし実際には、消費の落ち込みがそこまで大きくはなく、当初想定された最悪のケースには至らなかった。

 総務省が公表する家計調査では、消費支出を基礎的支出と選択的支出に分けて発表しており、不要不急の支出とみられる選択的支出の比率は、2019年で44%程度となっている。同支出の季節調整値を推計すると、3、4月の選択的支出は消費支出の22%程度となっている。5月に不要不急の支出がさらに落ち込むことも考えられたが、政府は5月14日以降、緊急事態宣言を徐々に解除し、25日には全国で解除した。消費支出も5月中旬以降は、回復している可能性が大きい。