テスト前なのに勉強もせずゴロゴロして、スマートフォンをいじっている子どもを見ると、ついイライラしてしまうものです。そして、つい言ってしまいます。
「勉強しなさい!!」
しかし、子どもは親に勉強しなさいと言われるほど、勉強したくなくなる生き物です。「うるさいなあ」と言いながらも机に向かってくれればいいほう。「今やろうと思っていたのに!」と怒りだし、かえって勉強が手につかなくなり、フテ寝してしまう子もいるでしょう。
そんなご家庭に紹介したいのが、『朝15分学習法』です。やり方は、とっても簡単。子どもが朝起きたらすぐに食卓に座らせて、たった15分、学習させるだけ。
用意するのは、消しゴム2個と鉛筆2本でOKです。
これだけで、子どもに学習する習慣がつき、小学校、中学校、高校、大学にあがっても、自ら勉強する子どもに育ちます。親御さんの望む、子どもの学習習慣が手に入れられるのです!
本連載では、延べ6万5000人以上の子どもたちを指導してきた著者が、0歳から大学生までの学習実例をもとに、正しい学習姿勢のポイントをはじめ、お風呂での学習法や、塗り絵を学習に生かすコツなど、子どもの年齢に合わせた学習法を紹介していきます。

今回は「朝15分学習法」を実際に私が教えた生徒さんの事例を交えながら、ご紹介していきましょう。
 ※名前はすべて、仮名です。

算数が苦手だった、小学3年生・ゆめさんの場合

 ゆめさんは、算数が苦手でした。小学3年生といえば、掛け算や割り算も学ぶようになる学年ですが、ゆめさんは足し算や引き算にもすごく時間がかかるのです。小さな子どもがやるように、両手を使って指を折りながら数えることもしばしばありました。

 ゆめさんが教室に通うようになり、朝学習で算数のドリルを始めて3ヵ月ほどたったころ、お母さんから「私が何も言わなくても、毎朝自分で勉強しています。別人のようです」との喜びの声をいただきました。毎朝学習することが習慣になったことで、学習内容が定着し、どんどん計算が速くなったのです。

 ゆめさんは今4年生ですが、今では学校で習っていない少し上のレベルの計算を学習しています。当然のことながら、学校で習う勉強で、もうわからないことはありません。

10以上数えるのも難しかった、小学1年生・月子さんの場合

 月子さんは「数」が苦手でした。生活の中で数に触れる機会が少なく、10以上数えるのも難しい状態。親御さんは「小学校に入ったら、数えられるようになるだろう」と楽観視していたようですが、算数の授業についていけない我が子を心配し、小学1年生のときに私の教室に入り、朝学習を始めました。

 朝学習で行ったのは、簡単な計算問題。その際、「声に出して読む」ことを勧めました。

 例えば「1+2=3」だったら、「いち(たす)に(は)さん!」と計算式を声に出す。声に出すと集中しやすくなり、記憶に残りやすくなるという効果があります。

 すると、みるみる定着度が上がり、算数が得意に。2年生の今は学校の授業よりも先に掛け算の筆算にチャレンジしています。

 ちなみに、計算式を解く際に、多くの子どもは声に出さずとも「頭の中で音読」していますが、物事をなかなか覚えられない子どもはそれができないという傾向があります。実際に声に出して音読すると、いいトレーニングになります。

簡単な計算問題は、なぜ「声に出して読む」といいのかイラスト/荒木慎司