氷河期世代支援「開店休業」の実態、コロナ失業で引きこもり急増の懸念就職氷河期世代支援のために設置した新組織の看板を掛ける西村康稔経済財政担当相(中央)(2019年12月25日) Photo:JIJI

安倍政権の肝いり政策だった就職氷河期世代支援プランが2020年度からスタートした。しかし、地方自治体の担当者らに取材をしてみると、その実態は事実上の「開店休業」であることが分かった。コロナ禍による解雇や雇い止めは6万人を超えたが、コロナ時代は、リーマンショックをはるかに超える規模で、今後引きこもり層が顕在化してくるだろう。(ジャーナリスト 池上正樹)

就職氷河期世代支援プランが
2020年度からスタートしたものの…

 2020年度からスタートした安倍政権肝いりの政策「就職氷河期世代活躍支援プラン」に、「ひきこもり(8050等の複合課題)支援」が組み込まれたことは、連載の前回記事『安倍政権7年8カ月、「引きこもり政策」視点では評価できる理由』で紹介した通りだ。

 19年11月、首相官邸でひきこもり当事者団体も交えた会議体(プラットホーム)の全国版が開かれ、12月末には、この支援プランに基づいて、関係府省会議で決定した「就職氷河期世代支援に関する行動計画2019」が公表されている。

 しかし、各地の現場で進捗状況を尋ねてみると、国が目指した各都道府県と市町村でのプラットホームづくりは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあって、なかなか進んでいないのが現実のようだ。