土地評価写真はイメージです Photo:PIXTA

日本の相続財産は、土地や家屋といった不動産が約4割を占める。国税庁の『令和元年分 相続税の申告事績の概要』によると、相続財産の金額の構成比では土地34.4%、現金・預貯金等33.7%、家屋5.2%。10年程前に比べると、徐々に土地が減り、現金・預貯金等が増えてはいるが、それでもまだ土地がトップだ。土地の相続税は評価額によって決まる。それなのに、「土地評価は税理士の数だけ異なる」といわれる。相続財産の最多を占める訳だから、土地評価によって払うべき相続税額も大きく変わる。なぜ、こんなことが起きるのか。当税理士事務所の事例をご紹介したい。(税理士・岡野雄志税理士事務所所長 岡野雄志)

信頼していた顧問税理士なのに…
土地評価額の高さに愕然

 Aさんは、地主だった父親から、都内の住宅街にある5階建てマンションとその敷地1100平方メートルを相続した。このマンションも亡父が建てたものである。Aさんは個人事業主だったので、長年、付き合いのある顧問税理士に相続税申告を依頼した。

 顧問税理士が算出したその敷地の評価額は、4億6000万円。相続税は土地単体ではなく、遺産総額に課せられる。相続人は母親とAさんのみ。基礎控除額や葬式代などを差し引き、母親と配分しても、Aさんの相続税納付税額は2億円以上になった。「高いな」と思いつつも、相続した現金から何とか納税した。