「成果が出ない」「部下が育たない」
焦りは自分を追い詰める危険な兆候

 「自分の感情は置き去りにして、必死でやってきました」

 「今の時期、やるべきことが山積みで、とにかく走るしかないんです」

 「部下が悩んでいるのがわかるけど、ちゃんと話し合う時間が取れないんです。でも、やるしかないんです。頑張ります」

 これらは、あるミドルマネジャーとの会話の中で出てきた言葉です。皆さんは、こんな状況になっていませんか?

 今回は、私が一番気がかりな点、「ミドルの人たちの心の持ちよう」についてお話したいと思います。それは、冒頭のように頑張っているミドルの多くが抱えている心のあり方であり、誰もが陥り易い「焦り」でもあります。

 「頑張ってどこが悪いんだ」という反論もあるかもしれませんね。では、どういうことなのかを一緒に考えてみましょう。

 やるべきことがたくさんあるけど、できていないことに追い立てられ、焦ってしまう。追い込まれても、自分に鞭打って頑張ってしまう――。

 そもそも「自分が頑張って何とかしなくては」という気持ちは、責任感があり、なすべきことを知っているミドルの人たちに芽生えてくる、とても前向きな心です。しかしその前向きな気持ちも、それだけでは逆に自分を追い込んでしまうということを、理解して欲しいと思います。

 「To Do List」というものをご存知でしょうか? これは、ビジネスパーソンが職場でやるべきことを書き出すチェックリストのことです。仕事の基本スキルとして誰もが習い、毎日使っているツールだろうと思います。

 私も使っていますし、達成した項目を消し込むときに小さいながらも達成感を味わえるので、心理的な側面からも有効だと言われています。