ユニクロ米国輸入差し止めは人ごとじゃない、産業界に広がる新疆人権リスクPhoto:VCC/gettyimages

米中対立に巻き込まれるのはもはや、ハイテクセクターの日本企業だけではない。米国バイデン政権は、中国政府への少数民族に対する弾圧を厳しく非難し、それに対して制裁を加えている。この余波は、日本のあらゆる産業に広がる恐れがある。(ダイヤモンド編集部 杉本りうこ)

ユニクロの中国・北京の店舗と米税関がユニクロの申し立てを却下した文書(右)ユニクロの中国・北京の店舗と米税関がユニクロの申し立てを却下した文書 拡大画像表示

「DENIED(却下する)」。5ページにわたる英文の文書は、大文字6字でぴしゃりと締めくくられていた。これを読んだファーストリテイリング(ユニクロ)の担当者は大いに落胆したことだろう。

 ユニクロ製品の一部が米国で輸入差し止めを食らっていたことが明らかになった。米税関・国境警備局(CBP)が1月に差し止めていたのが、5月19日に発覚した。対象となったユニクロ製品が、中国共産党の傘下組織「新疆生産建設兵団(XPCC)」のコットンを原材料に使っているという疑いが原因だ。米国では昨年11月から、新疆ウイグル自治区における少数民族の強制労働を理由に、XPCCが生産に関わるコットンと繊維製品の輸入が禁止されている。

 冒頭の言葉は、米税関が公開した文書の一部である。ファーストリテイリングが「製品は強制労働と無関係」と反論したのを、米税関が証拠不十分で却下したという内容だった。