ダイヤモンド決算報#ユニクロエアリズムマスクは絶妙なタイミングで投下された Photo by Rumi Souma

新型コロナウイルスの感染拡大で大きな打撃を受けたファーストリテイリングの2020年8月期第3四半期決算。欧米や東南アジアでの復調はやや足踏み気味だが、国内や中国大陸で業績が持ち直した。それでも業績予想では今期3度目の下方修正を行った真意とは。(ダイヤモンド編集部 相馬留美)

累計では余裕の黒字決算だが
さらに一段の下方修正

「4月に想定していたよりも速いペースの回復だ」――。

 7月9日、ファーストリテイリングの2020年8月期第3四半期(3-5月期)決算説明会の壇上で、岡崎健CFO(最高財務責任者)は、グレーターチャイナ(中国・香港・台湾)の売り上げについてこう語った。

 前日、奇しくも米国の老舗アパレルであるブルックス・ブラザーズが破たんした。世界中のアパレルが新型コロナウイルスの感染拡大により、財務の毀損が深刻になっている。

 ファストリもまた、赤字店舗の固定資産や使用権資産の減損損失を152億円計上し、第3四半期は43億円の営業赤字に陥った。海外やインバウンド消費の好調が続いていたユニクロが新型コロナで負った傷が明らかになった格好で、通期の見通しも下方修正した。

 とはいえ、第3四半期の対象である今年の3~5月は、新型コロナの影響が色濃く反映される時期だ。先日発表された国内老舗の三陽商会の第1四半期(3-5月)決算では、売上高57億円に対し特別損失13.6億円を計上していた。売上高に占める損失の割合から考えると、トレンド系アパレルに比べれば大した深手ではない。

 今期のファストリの下方修正はこれで3度目だ。第1四半期は韓国における不買運動や暖冬による売り上げ減の影響、第2四半期で新型コロナの影響を織り込んだ。今回、さらに一段の下方修正を行った形となる。

 今回の下方修正では第3四半期の減損に加え、第4四半期にも約50億円の減損リスクを見込む、加えて売上高の上限も1000億円下げ、1兆9900億円と2兆円の大台を割ると予想した。

 コロナ禍が拡大する前には、20年8月期は大幅な増収増益を予想していただけに、足踏み感は大きい。

 しかし、第3四半期の事業セグメント別売上高の中身を細かく見てみると、業績予想をなぜここまで下げたのかと首をひねらざるを得ない。