海苔の老舗が手がける日本茶専門店に、パリの一流たちが詰めかける理由丸山海苔店の丸山慶太社長(写真同社提供、以下同)

フランスの高級ホテルや一流レストランなどにも日本茶葉を提供

 創業166年を誇る丸山海苔店は全国3000のすし店など飲食店に最高級ののりを納める老舗だ。『ミシュランガイド東京2021』に掲載されている星付きのすし店は30店あるが、そのうちの6割が同社ののりを使っている。

 また、高級日本茶も取り扱っており、「寿月堂」の名で築地本店のほか、パリと歌舞伎座内に店舗を構える。パリ店は、2008年にサンジェルマン・デ・プレという高級住宅街でフランス文化の中心地に出店した。

海苔の老舗が手がける日本茶専門店に、パリの一流たちが詰めかける理由丸山海苔店のお茶

 「フランス人は日本文化に関心が深く、クラフトマンシップ(職人気質)を大切にするし、当社のようなファミリービジネスへの尊敬もあります」と、同社の6代目社長である丸山慶太(48歳)は語る。

 なお、寿月堂パリ店では、裕福な地元住民が通うだけでなく、高級ホテルや一流レストランなどにも日本茶葉を納めている。

 「パリの5つ星ホテルの大半が当社のお客様です。日本の多くの飲食店ではお茶と水はタダですが、パリでは通常の飲物と同じなので、品質にこだわります。開店当初、『寿月堂はスーパーに売るようなブランドじゃないですね』とホテル側に念押しされましたし、最高級の品物を持ってこいと言われました。有名レストランのジョエル・ロブションには玉露を納めています」と丸山。

 スイス、ベルギー、イギリスなどのヨーロッパ圏にも茶葉を出荷、ドイツの需要も増え始めていたが、コロナ禍で止まってしまった。また、アメリカのオレゴン州にも16年に現地法人を設立し、日本茶文化をヨーロッパのように浸透させるべく挑戦中だ。現在、海外売上高比率は7~8%になったという。

 パリ店もコロナ禍で休業に追い込まれたが、2020年5月11日には再開、オープン初日は想定以上の来客があったという。