世界の「今」と「未来」が数字でわかる。印象に騙されないための「データと視点」
人口問題、SDGs、資源戦争、貧困、教育――。膨大な統計データから「経済の真実」に迫る! データを解きほぐし、「なぜ?」を突き詰め、世界のあり方を理解する。
著者は、「東大地理」を教える代ゼミのカリスマ講師、宮路秀作氏。日本地理学会の企画専門委員としても活動している。『経済は統計から学べ!』を出版し(6月30日刊行)、「人口・資源・貿易・工業・農林水産業・環境」という6つの視点から、世界の「今」と「未来」をつかむ「土台としての統計データ」をわかりやすく解説している。

世界一の貿易額を誇る中国の「意外な弱点」とは?Photo: Adobe Stock

世界の工場、中国の強みとは?

 中国の経済成長は1992年から始まりました。この年の1~2月、かつての最高指導者であった鄧小平が中国南方地域を視察し、改革開放政策と経済成長の拡大の大号令を発したことがきっかけです。

 それまでの中国では「計画経済か? はたまた市場経済か?」という論争がありました。これに終止符を打ち「社会主義は必ず計画経済と決まっているわけではなく、計画経済にも市場があり、市場経済にも計画はある」と改革・開放路線を邁進すべきであるとの声明をだします。いわゆる「南巡(なんじゅん)講話」です。

 中国は、本来は共産党一党独裁の国であり、社会主義国家です。しかし、その中に市場経済を取り入れ(「社会主義市場経済」といいます)、積極的な外国資本の導入により製造業を発展させ、それにともなう生活水準の向上によりサービス業が成長し、大きな経済発展をみせました。

 2019年現在、世界最大の貿易額を誇るのが中国です。中国は安価で豊富な労働力を活かして「世界の工場」と化しています。そのため、「機械類」(43.8%)や「衣類」(6.3%)、「繊維品」(4.8%)が輸出品のトップ3を占めます。また、同様に「家具」や「はきもの」、「玩具」の生産・輸出も盛んです。

 輸出相手先としては、市場規模の大きいアメリカ合衆国や日本、韓国、ドイツといった国が上位を占め、中継貿易を行っている香港への輸出も盛んです。

 中国の輸出額は一時的に前年割れになることもありますが(2009年、2015年、2016年)、一貫して増加傾向を示しています。特に2000年代からの伸びが顕著です。GDPも増加の一途をたどっており、毎年過去最高を記録しています。

 輸出依存度をみると、1980年代は10%に満たない程度で推移し、1990年代は10%台、2000年に20%を超えると、2004年に30%を超えました(30.51%)。

 しかし、2006年の32.29%をピークに年々減少傾向にあり、2019年は16.86%でした。つまり近年の中国は、単なる「世界の工場」というわけではなく、向上した生活水準を背景に国内需要が拡大していることがわかります。