世界の「今」と「未来」が数字でわかる。印象に騙されないための「データと視点」
人口問題、SDGs、資源戦争、貧困、教育――。膨大な統計データから「経済の真実」に迫る! データを解きほぐし、「なぜ?」を突き詰め、世界のあり方を理解する。
書き手は、「東大地理」を教える代ゼミのカリスマ講師、宮路秀作氏。日本地理学会の企画専門委員としても活動している。『経済は統計から学べ!』を出版し(6月30日刊行)、「人口・資源・貿易・工業・農林水産業・環境」という6つの視点から、世界の「今」と「未来」をつかむ「土台としての統計データ」をわかりやすく解説している。
米、小麦、トウモロコシの意外な特徴
世界三大穀物と称される米、小麦、トウモロコシは特に生産量の多い穀物です。
米の生産量は7億5547万トン(2019年)です。高温多雨に適した栽培条件をもち、生産地はモンスーンアジアに偏っています。
モンスーンアジアとは、モンスーンの影響を受けて、特に夏に多雨となるアジアの地域で、モンゴルから中国西部を除く東アジア、東南アジア全域、パキスタンを除く南アジアが該当します。同地域の生産量は世界の約90%を占めます。
生産量の上位国は、中国、インド、インドネシア、バングラデシュ、ベトナム、タイ、ミャンマー、フィリピン、パキスタン、カンボジアです。パキスタンを除いたすべての国がモンスーンアジアに位置しています。
輸出量は4452万トン(2017年)と生産量に対して約5%ですから、基本的には生産地で消費されていることがわかります。米は自給的な性格を有しています。
世界最大の米の輸出国はインドです。これは「緑の革命」によって自給を達成し、その後、輸出余力が高まったことが背景にあります。